『プロフェッショナルの条件』

2000年6月29日 第1刷発行

 

著者:P.F.ドラッカー

 

編訳者:上田 惇生(あつお)

 

発行所:ダイヤモンド社

 

【著者紹介】

 <P.F.ドラッカー>

米国クレアモント大学院大学教授。1990年ウィーン生まれ。フランクフルト大学卒。ビジネス界にもっとも影響力を持つ思想家として知られる。東西冷戦の集結、転換期の到来、社会の高齢化をいち早く知らせるとともに、「分権化」「目標管理」「経営戦略」「民営化」「顧客第一」「情報化」「知識労働者」「ABC会計」「ベンチマーキング」「コア・コンピタンス」など、おもなマネジメントの理念を生み発展させてきた。2005年11月11日、他界。

主な著書に『企業とは何か』『現代の経営』『経営者の条件』『断絶の時代』『マネジメント』『明日を支配するもの』『ネクスト・ソサイエティ』など多数ある。

<上田惇生>

ものつくり大学名誉教授。1928年生まれ。1961年サウスジョージア大学経営学科、64年慶應義塾大学経済学部卒業後、経団連事務局入局。同会長秘書、国際経済部次長、広報部長、(財)経済広報センター常務理事、ものつくり大学教授(マネジメント、社会論)を経て、現職。「はじめて読むドラッカー」シリーズ、「ドラッカー名言集」四部作の編集・翻訳ほかドラッカー著作のほとんどを翻訳、著書に『ドラッカー入門-万人のための帝王学を求めて』がある。ドラッカー自身から最も親しい友人、日本での分身といわれる。ドラッカー学会代表。

(著者紹介より抜粋)

【オススメ度】  
読みやすい度 ★☆☆☆☆
お役立ち度

★★★★☆

さすがドラッカー、難解度

★★★★★


 

ハッピーバスデイ・トゥ・ミー!

 

家族にも忘れられていましたが、、、(笑)

 

まあ、30代男性の誕生日なんて、こんなもんですね。。。

 

今年の抱負は、診断士試験に合格し、新しいコミュニティーに所属し貢献することです。

 

未来の診断士仲間のみなさん、どうぞよろしくお願いします!!

 

……ここに、本業を更に頑張る!って書かないあたりが、そもそも枯れてるな〜って感じですね(苦笑)

それでは、今週の1冊です。

 

先週・先々週の本が読みやすかったこともあり、ゆっくり時間をかけて読むことができました。

 

おかげて多くの付箋が付きまして、選ぶのに苦労しました。


多く羅列しても学びが薄くなってしまうので、例によって3つに絞ってご紹介致します。

 


〜①:組織の存在理由〜

最近のこのHPでご紹介する項目のうち、5つに一つくらいの割合で、「変化が大事」的なことを書いている気がします。

 

本書にも同様の記述がありました。

 

以下に一部引用させて頂きます。 

 

(ここから引用)

組織は、存在することが目的ではない。種の永続が成功ではない。その点が動物とは違う。組織は社会の機関である。外の環境に対する貢献が目的である。しかるに、組織は成長するほど、特に成功するほど、組織に働くものの関心、努力、能力は、組織の中のことで占領され、外の世界における本来の任務と成果が忘れられていく。

(中略)

外の重要なことは、もはや手遅れという時期にならないと、定量的な形では入手できない。これは、外のことについての情報の収集が、コンピュータの演算能力よりも遅れているからではない。

(中略)

根本的な問題は、組織にとってもっとも重要な意味を持つ外の出来事が、多くの場合、定性的であり、定量化出来ないところにある。それらはまだ事実となっていない。事実とはつまるところ、誰かが分類し、レッテルを貼ったできごとのことである。定量化のためには、概念が無ければならない。

(中略)

外の世界における真に重要なことは、優勢ではない。変化である。この外の変化が、組織とその努力の成功と失敗を決定する。しかもそのような変化は、知覚するものであって、定量化したり、定義したり、分類したりするものではない。分類によって数字は得られるが、そのような数字は現状の状況を反映していない。

(引用、ここまで)

 

経営も努力も、外部の変化に応じることが重要です。

 

そして、本書において、そのような変化は「知覚」するものであり、コンピュータ等で把握できる定量的なデータでは無い、としています。

 

当たり前のことであるように感じられますが、それでも、忘れてはいけない重要な示唆だと感じます。

 

私自身、ありがたいことに安定した大企業で働けています。


だからこそ、世間の考え方から置いていかれたり、古い既得権に守られた仕事をしているのではないか?と、危惧しています。

 

近年、副業や兼業を容認する向きが増えてきております。

 

これは、自社に限られた常識内の価値観に凝り固まってしまう「井の中の蛙」現象にとって、良い特効薬になると思います。

 

少しでも広い視野を持って生活できるように、フットワーク軽く過ごして行きたいですね。

 

 

〜 To Do 〜

外部変化を知覚できる日常を送り、感性を磨く。


〜②:貢献を重視する〜

組織おいて、各個人がプロフェッショナルとしてどのように成果を上げるべきなのか。

 

この問いに、ドラッカーは以下のように答えています。

 

(ここから引用) 

成果を上げるためには、貢献に焦点を合わせなければならない。手元の仕事から顔を上げ、目標に目を向けなければならない。「組織の成果に影響を与える貢献は何か」を自らに問わなければならない。すなわち、自らの責任を中心に据えなければならない。

(中略)

ところがほとんどの人が、下の方に焦点を合わせたがる。成果ではなく、権限に焦点を合わせる。組織や上司が自分にしてくれるべきことや、自らがもつべき権限を気にする。その結果、本当の成果を挙げられない。

(中略)

なすべき貢献には、いくつか種類がある。あらゆる組織が3つの領域における成果を必要とする。すなわち直接の成果、価値への取り組み、人材の育成の3つである。これら3つの領域全てにおいて成果を挙げなければ、組織は腐り、やがて死ぬ。

(引用、ここまで)

 

自分が仕事をする時、何を重視しているか。

 

私をはじめ、ほとんどの人は、「自分の権限」を意識し、「自分の役割」に合わせて無難な仕事をしてしまってはいないでしょうか?

 

もちろん、組織内の権限を逸脱して何もかも自由にして良いわけではありません。

 

しかし、組織内での成果を追求する際に、「直接の成果への貢献」「価値への取り組みの貢献」「人材育成の貢献」それぞれに取り組むことは、非常に意義があることです。

 

その貢献を行う際に、権限に制約があるのであれば、しかるべき権限者に相談してたり、PJとして権限を認めてもらったり、出来る方法はあるはずです。

 

まず、「権限」ありきで自分の活動範囲を制約し、そこから出ない人が多いと思います。

 

そのままでは、新しい権限を与えられるまでは、組織に対する貢献範囲が拡大せず、外部環境の変化にも対応できません。

 

これが、ドラッカーが言うところの「組織が死ぬ」ということでしょう。

 

自分が組織に期待されていることや組織に認められている権限を超えて、何かしらの貢献をすること。

 

非常に難しい課題ではありますが、そのような行動を取れる人間が、雇われる側から経営する側に引き立てられるのだと思います。

 

昇進だけが全てではありませんが、一仕事人として誇れる活躍が出来るよう、貢献を主眼にした業務を行っていきたいものです。

 

〜 To Do 〜
成果の貢献、価値への貢献、人材育成の貢献を日常で行う。

〜③:リーダーシップの本質~

サラリーマンも5年~10年もすると、「リーダー」と呼ばれる肩書を与えられたり、地位についたりすることもあると思います。

 

ドラッカーは、リーダーシップにいついて以下のように記述しています。

 

(引用、ここから)

リーダーたることの第一の要件は、リーダーシップを仕事と見ることである。

(中略)

効果的なリーダーシップの基礎とは、組織の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に定義し、確立することである。リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持するものである。もちろん、妥協することもある。

(中略)

リーダーたることの第二の要件は、リーダーシップを、地位や特権ではなく責任と見ることである。優れたリーダーは、常に厳しい。ことがうまくいかないとき、そして何事も大体においてうまくいかないものだが、その失敗を人のせいにしない。

(中略)

真のリーダーは、他の誰でもなく、自らが最終的に責任を追うべきことを知っているがゆえに、部下を恐れない。ところが、似非リーダーは部下を恐れる。部下の追放に走る。優れたリーダーは、強力な部下を求める。部下を激励し、前進させ、誇りとする。部下の失敗に最終的な責任を持つがゆえに、部下の成功を脅威とせず、むしろ自らの成功と捉える。

(中略)

リーダーたる第三の要件は、信頼が得られることである。信頼が得られない限り、従うものはいない。そもそもリーダーに関する唯一の定義は、つき従うものがいるということである。

信頼するということは、必ずしもリーダーを好きになることではない。常に同意できるということでもない。リーダーの言うことが真意であると確信をもてることである。それは、真摯さという誠に古臭いものに対する確信である。リーダーが公言する信念とその行動は一致しなければならない。

(引用、ここまで)

 

実践するには非常に厳しく、また、自分の上司はこんな人であってほしいという理想でもありますね。

 

私が「理想だ」と感じてしまうということは、この3点を備えている人物はなかなかいないので、自分自身が行うには、相当に本当に難しいことなんだと感じます。

 

特に、公言する信念と行動を一致させることは、簡単にできることではありません。

 

何かの本を読んだあと、立派な考え方を「信念」として公言することは簡単です。

 

しかし、自身の言動を常に一致させるととは、並大抵の努力では達成できません。

 

飽き性の自分には、本当に難しいことです。

 

とはいえ、「難しい」「できない」だけを言っていても何の進歩もありません。

 

失敗しても継続できなくても、新たにリスタートすることが最終的な成功に繋がると信じて、懲りずにToDoで宣言したいと思います。

 

 

〜 To Do 〜
信念を公言し、言動を一致させる。

〜まとめ〜

本書は、プロフェッショナルとしての働き方に関する考え方や示唆が盛り込まれています。

 

盛り込まれすぎていて、一度で全てを吸収することは困難です。

 

きっと、それぞれの立場によって「刺さる」言葉が人それぞれ違う本だと思います。

 

ですから、本書を5年後に読んだら、「勉強になった3つ」は全然別のモノを挙げている予感がします。

 

また、「知識労働者は事実上、監督されえない存在である。その専門について自分より詳しく知るものが存在するようでは、価値のない存在である。とまで書かれており、非常に厳しくハードルの高い理想像を追っている本でもあります。

 

1度では吸収しきれないので、本棚の「何度も読み返す本ゾーン」に置きたいと思います。

 

〜 To Do 〜
1.外部変化を知覚できる日常を送り、感性を磨く。

2.成果の貢献、価値への貢献、人材育成の貢献を日常で行う。

3.信念を公言し、言動を一致させる。