『あなたはあなたが使っている言葉でできている』

2018年10月20日 第1刷発行

 

著者:ゲイリー・ジョン・ビショップ

 

発行者:コバヤシタケシ

 

発行所:株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン

 

 

【著者紹介】

 スコットランドのグラスゴー生まれ。1997年にアメリカへ移住し、特に存在論と現象学について数年間学んだ後、世界有数の人材開発企業でシニアプログラムディレクターを務め、世界中の何千人もの人にコーチを行う。マルティン・ハイデガー、ハンス・ゲオルクガダマー、エトムント・フッサールの哲学から影響を受け、「都市哲学」という自身のブランドを創り出した。現在は、人間の能力をシフトさせて人生に大きな変化を起こすという生涯の仕事に日々を送る。彼の飾らない率直なアプローチは賛同者を増やしている。フロリダ在住。妻と子供との5人暮らし。

(著者紹介より抜粋)

【オススメ度】  
読みやすい度 ★★★★★
お役立ち度

★★★★☆

ウッカリ、世捨て人になりそう度

★★★★★


あっという間に、下期に突入しましたね。

 

2020年は、あと3ヶ月!?

 

なんだか、本当にあっという間の1年間ですね。

 

今月はいよいよ診断士試験の本丸、2次試験です。

 

悔いの残らないよう、対策を講じて行きます。

(実は、本書の内容の前フリになっています・・・笑)

 

それでは、今週の1冊です。

 

またまた、良き同僚のHさんからお借りしました。

 

外国人作家の本が好きなのかしら??

 

(前回分はコチラ

 

自分では選ばないであろう本と出会えるのが醍醐味ですよね。

 

本書は、自分に自信が無くなった人向けに、自信の取り戻しと前向きな日常を送るための秘訣が書かれています。

 

とはいえ、今まさに野望に燃えているような人や、中立的な日常を送っている方にも有用なアドバイスが多数あります。

 

全8章+まとめの1章という構成です。

 

特に感銘を受けた3章を基に、披露させて頂きます。

 


〜①:先が分からないからおもしろい〜

 

本書の前半戦では、そもそも自信を喪失してしまって、自分から動けなかったり自暴自棄になってしまっている人向けに、対処法や自信の復活法が説明されています。

 

ただ、こんなマイナーで小難しいHPを読んで下さっている読者の方々は、どちらかと言えば「意識高い系」の方ではないでしょうか(笑) 

 

つまり、自分の課題が見えていて克服に努力をしている方。

 

あるいは、「このままではダメだ」と考え、何かしら行動を起こそうとしている方・・・。

 

そのような、既に何かしらの行動を起こしている方々・これから起こそうとする方々、、、

 

そんな皆様にオススメの格言を、本書からご紹介します。

 

 

どんな決断であれ、一番いいのは正しい決断をすること。

次にいいのは間違った決断をすること。

そして最悪なのは何も決断しないことだ。

-セオドア・ルーズヴェルト(アメリカ第26第大統領)-

 

 

いやー、さすがですね。

 

よい言葉です。

 

また、本書には以下の言葉が続きます。

 

(以下、引用)

大きなインパクトを残しながらも、すぐに消えていった人たちを思い浮かべてほしい。おそらく思いつくのは芸能人や実業家、スポーツ選手だろう。

私もそういう「成功した」人たちをコーチした経験が何度もある。彼らは人生が平凡なものになり、自分が退屈で、さえない人間になってしまったと感じて、私のところへやって来る。

なぜそんなことになったかというと、ぬるま湯につかっているからだ。彼らは何年もの間、目標を達成するために安全圏を離れてがんばってきた。ところが見通しのきかない状況よりも確実な状況を選んだ瞬間、結果が出なくなった。壁にぶつかった。

なぜそんなことになるのだろう。それは、何か目標を達成し、お金を手に入れ、成功をつかむたび、未来が少し確実なものになったように思えるからだ。預金が増えたのを見て、安心感を抱かない人はいない。

しかしそうした心境の変化こそが、何もしたくない状況を生む。お金に対する不安、あるいは欲望や必要性がなくなったら、お金を求める気持ちは薄れていく。成功できるだろうかという不安がなくなったら、野心は薄れ、しぼんでいく。確実性という膨れ上がった幻想の中でごろごろし始める。そしてやがて「落ち着く」。人は確実な状況に落ち着く。

不確実さは人生にパワーをもたらす。その人を形作り、ときには壊す。人を金持ちに、あるいは貧乏にする。成功のカギになることもあれば、失敗へ導くこともある。

そして多くの人が、その両方を経験する。

(引用、ここまで)

 

おそろしい、話です。

 

成功を求めて努力を重ね、成功を手にすると、「落ち着く」。

 

そして、努力をするパワーを失い、人生に落胆する。

 

本当に??と問いたくなりますが、おそらく事実なのでしょう。

 

ともすると、何かに関する「欠乏感」は、自分が努力をするためのパワーの源になるということです。

 

アドラー心理学でいうところの、「正しい劣等性」という概念に似ています。

 

※劣等コンプレックスは、他人と比較した際に現れる事象を、劣等的と判断しネガティブな感情を抱くこと。

正しい劣等性は、立ち上がれない乳児が立とうと努力をすることや、自分の伝えたいことを相手に伝えようと一生懸命話すこと、自分の理想に近づくために努力をすること、等を言います。

 

「将来のことが分からないから不安」では無く、「何が起こるか分からないから人生はおもしろい」と考え、新しいことに日々チャレンジして行きたいものですね。

 

〜 To Do 〜

何が起こるか分からないから人生はおもしろい。新しいことに日々挑戦する。


〜②:がむしゃらになる〜

新しいことにチャレンジするにあたり、困難はつきものです。

 

筋トレであれ、ダイエットであれ、マイホームを購入するであれ・・・

 

何かを成し遂げ何かを手に入れたければ、苦労と困難が伴います。

 

そして、そんな新しいことに立ち向かうために本書が推奨している考え方が、タイトルの通りです。

 

「がむしゃらになる」。

 

ひたすら、これしか無いということです。

 

なんとも、前近代的な昭和モーレツサラリーマン課長みたいな事を言っています。

 

ただ、戦略もなく「やみくも」に努力することとは少し違います。

 

がむしゃらになるコツは、「目の前の問題に集中すること。全神経を注ぐこと」だそうです。

 

(以下、引用)

すべてをなくしたように見える中でも前進する人間になろう。答えは常にそこにある。あとは見つけるだけだ。

前に進んでいけば、今度は次の壁にぶつかるだろう。そしたら今度はそれに全神経を注いで乗り越える。乗り越えたら次、その次、その次と進んでいく。

そうやって進んでいれば、自分がドコに向かっているか不安に思うことはない。目的地まであと何キロ残っているかなんて気にならない。障害を避けるより、障害を求める人間になっていく。それこそが成長と成功のカギだからだ。

(引用、ここまで)

 

振り返ってみると、自分自身、子育てが一段落し仕事も退屈になった時に(とある本部への左遷時代の話です)、「難関と呼ばれている国家資格への挑戦」が努力の原動力になりました。

 

資格を取得した後どうするのか?

 

そんなことは考えず、合格だけを目標に日々勉強していました。

 

取得した結果どうなったか?

 

自分に自信がつき、更に難関な資格取得を目指しました。

 

(もちろん、周囲から一目置かれるという副次的メリット、会社から報奨金10万円もらえたという直接的メリットもありましたが、笑)

 

幼稚園の卒園アルバムには、プロ野球選手になりたいと書いてありました。

 

小学校では、宇宙飛行士になりたかったようです。

 

中学・高校では、なりたい将来の夢を書いていません。

 

大学卒業後は、とにかく年収1,000万円になりたかったです。

 

結局、人生設計なんて、作ってもその通りにいく人はほんの僅かです。

 

今、自分自身は目標達成の途上にいますが、それでも、日々充実しています。

 

毎週のように同じことを書いていますが、やはり、「今ココに全力を集中する」ことが何より大切な生き方なようです。

 

「歩んできた過去に縛られず、今後どうなるか分からない未来に薄らぼんやりとした明かりを照らさず。

 

ただ、イマココ、現在に強烈なスポットライトを当てる。」

(『嫌われる勇気』に出てくる、お気に入りの言葉です。)

 

これからも、障害を求めて、全力で乗り越えて行きたいですね。

(ドMな生き方ですね・・・苦笑)

 

〜 To Do 〜
障害を求めて、全力で乗り越える。

〜③:何も期待せず、全てを受け入れる~

 

これが、本書で一番の「目からウロコ」な学びでした。

 

まずは引用させて頂きます。

 

(以下、引用)

想像してみてほしい。

あなたはずっと前から、自分の会社を立ち上げることを考えていた。自分が社長になり、自分で自分のスケジュールを管理し、これが人生の大きな成果だと誇りに思える商品をつくりたいと夢見てきた。

そして、懸命な努力と強い意志、確かな計画性に支えられて予定通りの人生を送り、ついに夢を現実にした。

事業のアイデアはちゃんと温めてあるし、クールなロゴづくりやブランディングを依頼する会社も決まった。あとは始めるだけだ。いよいよ楽しい日々がやって来るぞ・・・。

 

商売を始めるには店舗が必要だ。だから最初の仕事として、あなたは次の週、街中を車で回って絶好の場所を探し、不動産業者と交渉する。

簡単ではなかったが、いい場所がかなりの値段で決まる。候補はもう一箇所あったが、予算が追いつかなかった。

やるべきことは他にもある。損害保険に営業許可証、税務。まだ1ドルも稼いでいないが、複雑な法人税の処理を任せる会計士を雇わなくちゃならない。

続いて次の仕事だ。お店には家具と備品がいる。だからオトクな商品を探して回る。また一つチェックリストの項目が埋まった。当たり前だが、店で働く店員も必要だ。だから何人か雇う、チェック。

 

すべては順調・・・だったのだがドカン!オリジナル商品の販売に必要だった各種契約が決裂して、別の契約先を見つけなくてはいけなくなってしまう。クソっ!がっくりと気分が落ち込み、呼吸も浅くなっているが、あなたは慌てて別の卸売業者や輸入業者、製造業者を探し、見積もりを依頼する。

唯一の問題は、見積もりが予算をはるかに上回っていたことだ。どうしようもない。あなたは休み無く働いて業者を探すが、一向に成果はなし。このままではすべておじゃんだ。

企業に時間とリソースをずいぶん注いできたのに、今、道は巨大な岩で塞がれている。

(中略)

夢見ていたのはこんな日々じゃない。これは何かの間違いじゃないだろうか。気持ちがどんどん暗くなり、恐ろしい可能性がちらつく。努力がすべて水の泡と化し、昔の上司の元へほうほうのていで戻って、また働かせてくださいといわなくてはならない可能性が。うわあああ!!!

まあまあ落ち着いて。感情が先走ってしまったときは、一歩下がってみるといい。

(引用、ここまで)

 

さて、本書で続きに何が語られるかというと、計画時に練るアイディアや収集する情報から計画を実行する時に、無意識に「隠れた期待」も組み上がっている、と続きます。

 

上記の例では、契約を失うことが「想定外」で、期待通りにいかなかったことに心が折れてしまいました。

 

つまり、自分で描いたシナリオと現実との間にギャップがある

 

一言でいうと「期待外れ」であるということです。

 

これは、貯蓄でも、ダイエットでも、新しい仕事でも、何にでも当てはまります。

 

 

そして、ほとんどの問題はこの「期待」そもののにある、と本書では指摘しています。

 

期待外れに気分が落ち込むと、一つのプロジェクトだけでは無く、行動や日々の生活にまで悪影響を与えてしまいます。

 

では、どうすのか?

 

そもそも、人間の心は、本人が気付いていなくても、自動的に思考を生み出していると本書では指摘しています。

 

そして、俗に言う「自由意志」については、全ての物事を自分で決められる、という常識を捨て、以下のように考えるとしています。

 

「人間にある自由意志は、やっちゃダメだと思うことは全部やめて、やらなきゃいけないと思うことを全部やるようにするくらいしかない。」

 

・・・なんて身も蓋もない言葉でしょう!

 

ですが、現実的な心理を突いた一言だと思います。

 

そもそも、将来に対するシナリオなんて、外部環境や自分の心境の変化で、いかようにでも変化します。

 

今年1年の激動を的確に予想し、事前に準備が出来た人などいるでしょうか?

 

であれば、「コロナなんて想定外だ、これがなければ自分のシナリオはこのように成功していた」なんて考えて落胆するより、今やれることを精一杯やってあとは運任せ。

 

一個人にやれることなんて、この程度なのでしょう。

 

随分とサバサバした結論になってしまいましたが、自分としては非常に得心のいく締めになりました。

 

〜 To Do 〜
人間には自由意志なんて無い。期待を持たず、やるべきことを全部やって、やらざるべきことは全部やらない。

〜まとめ〜

世捨て人みたいな事を書いて終わってしまいましたが、これは、私のアイデンティティが曲がっているせいだとも思います。

 

Amazonで29週連続で20位以内にランクインしたベストセラー本です。

 

きっと皆さんそれぞれに、学びや気づきが多くある本だと思います。

 

久々にオススメ度のスコアも高くなっています。

 

ご自身での購入と読破をオススメします。

 

(私は借り物ですけどネ、笑)。

 

〜 To Do 〜
1.何が起こるか分からないから人生はおもしろい。新しいことに日々挑戦する。

2.障害を求めて、全力で乗り越える。

3.人間には自由意志なんて無い。期待を持たず、やるべきことを全部やって、やらざるべきことは全部やらない。