『孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきたすごいPDCA』

2017年2月9日 第1刷発行

 

著者:三木 雄信

 

編集担当:逸見 海人 

 

発行所:ダイヤモンド社

 

【著者紹介】

1972年、福岡県生まれ。東京大学経済学部卒業。三菱地所(株)をへてソフトバンク(株)に入社。ソフトバンク社長室長に就任。孫正義氏のもとで、マイクロソフトとのジョイントベンチャーや、ナスダック・ジャパン、日本債券信用銀行(現、あおぞら銀行)買収、およびソフトバンクの通信事業参入のベースとなった、ブロードバンド事業のプロジェクトマネージャーとして活躍。また、一連の事業を通して「高速PDCA」の土台を構築する。

2006年に独立後、ラーニング・テクノロジー企業「トライオン(株)」を設立。1年で使える英語をマスターするOne Year Endlish プログラム[TORAIZ]を運営し、高い注目を集める。

自社経営のかたわら、東証一部やマザーズ公開企業のほか、未公開企業の社外取締役・監査役などを多数兼任。プロジェクト・マネジメントや資料作成、英語活用など、ビジネス・コミュニケーション力向上を通して、企業の成長を支援している。

多数のプロジェクトを同時に手掛けながらも、ソフトバンク時代に培った「高速PDCA]を駆使し、現在は社員とともに、ほぼ毎日「残業ゼロ」。高い生産性と圧倒的なスピードで仕事をこなし、ビジネスとプライベートの両方を充実させることに成功している。

著書に、『なぜあの人は中学英語で世界のトップを説得できるのか-孫正義のYesと言わせる技術』(祥伝社)、『海外経験ゼロでも仕事が忙しくても「英語は1年」でマスターできる』(PHP研究所)、『世界のトップを10秒で納得させる資料の法則』(東洋経済新聞社)など多数。(著者紹介より抜粋)

 

【オススメ度】  
読みやすい度 ★★★★☆
お役立ち度

★★★★★

ソフトバンクで働いてみたくなる度

★★★★☆


「うおっ!?家からお宝発見!!」

 

今年のGWでの我が家のハイライトです。

 

さて、本日で、長いようで短いGW週間が終わりましたね。

 

外出自粛が続く中、皆様はどのように過ごされたのでしょうか?

 

我が家は、大掃除をしておりました。

 

というのも、2019年の6月に現居に引っ越したのですが、お恥ずかしながら、なかなか荷解きが進まずに、1部屋犠牲にして大量の段ボールを保管しっ放しになっておりました。

 

久々の長期休暇とあって、気候も絶好の掃除日和でしたので、5日間丸々荷物整理に費やしました。

 

比喩でも何でもなく、足の踏み場もないほど荷物まみれになってしまっていた部屋から、作業スペースを作るために当座の荷物を搬出して、作業を開始しました。

 

当然、一旦外に出した荷物は捨てるわけではないので、リビングや私の書斎を含め、他の全ての部屋を一旦機能不全にし、家族総出で片づけに取り掛かりました。

 

余談ですが、私は毎月月末に近所の神社に参拝し、その月の反省と翌月の目標を宣言することを習慣にしております。

 

4月末の参拝は5月1日(金)に行ったのですが、その際、5月の目標を以下のようにしました。

 

 ①診断士試験残り3科目の通信教育を完了させる。

 

 ②過去問対策を7科目に広げて、学習の目途を付ける。

 

 ③GW中に、手付かずであった荷物の整理を完了させる。

 

・・・ということで、まずは手付かずの荷物の総量を計測し、作業日で割り返して1日当りの作業ノルマを決め、5月2日(土)から作業を開始致しました。

 

〜そして3日目〜

 

「お父さん見て!お宝発見!」

 

大げさな声で家内が叫びました。

 

どーせ、子供が幼稚園で書いた絵やら、昔の写真やら、失くしたと思っていた思い出の品やら、その程度だと思いながら、「へ〜い」と気の無い返事。

 

行ってみてビックリ!!

 

未使用のサージカルマスク20枚!!

 

「うおっ!?お宝発見!!」

 

神様からの賜物でしょうか??真面目に掃除に励んだ、予想外のご褒美でした。

 

 

それでは、今週の1冊です。

 

先月、大量に仕入れた際の1冊です。

 

タイトルに惹かれて購入しました。

 

著者紹介に書いておりますが、言わずと知れた大経営者である孫正義社長の側近として、数々の大型プロジェクトを成功させてきた方の著作です。

 

大企業のビジネスマンとして現場で成功された方の著者であり、実践的で非常に有用な示唆がいくつもありました。

 

全てをお伝えすることは難しいのですが、まずは本書で説明されている「高速PDCA」の概要をご紹介致します。

 

次いで、恒例ではありますが、私が勉強になった点を3点書かせて頂きます。

 


〜⓪:「高速PDCA」とは?〜

本書で紹介されている「高速PDCA」とは、以下の8ステップで構成されています。

 

(1)大きな目標を立てる(週、月単位など)
(2)小さな目標を立てる(1日単位が原則)
(3)目標達成に有効な方法をリストアップする
(4)期間を決めて、全ての方法を同時に試していく
(5)毎日、目標と結果の違いを検証する
(6)検証をもとに、毎日改善する
(7)1番すぐれた方法を明らかにする
(8)1番すぐれた方法を磨き上げる

 

大枠では、通常のPDCAを同様で、「計画」⇒「実行」⇒「検証」⇒「改善」となっています。

 

普通のPDCAと「高速PDCA」の違いは、特に(2)、(4)、(8)になります。

 

すなわち、

 

(2)1日単位の目標を決める

 

(4)期間を決めて、全ての方法を同時に試していく

 

(8)1番すぐれた方法を磨き上げる

 

の3つです。

 

このHPは、本の要約が主目的ではないので、具体例を記載しての解説は省略させて頂きます。

 

ご興味のある方は、flierDIAMOND onlineなど、外部ページもご参考にして下さい。

 

(というより、是非買って読んで下さいw)

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それでは、感想文に入らせて頂きます。


〜①:毎日の目標を定義する〜

さて、皆様はPDCAを実践しておりますでしょうか?

 

私の会社でも、当然のように言われております。

 

しかし、その目標は「年間目標」・「半期目標」・「月次目標」のような単位です。

 

本書に書かれている高速PDCAは、「毎日の目標」を作成することに重きを置いています。

 

そして、この目標設定には明確なルールがあります。すなわち、

 

①毎日できる目標であること

 

②具体的なアクションであること

 

③計量できる目標であること

 

です。

 

なぜ、毎日の目標にしているかと言うと、週や月単位では、その週や月が終わるまで、自身の「勝ち」「負け」を知る機会が無いからです。

 

そして、週や月単位で負けを自覚し、それから「反省」や「改善」をしていたのでは遅すぎる、というわけです。

 

つまり、大きな目標を立てた後で、それを達成するための「毎日出来る」目標を設定し、毎日「達成できた」か「達成できなかった」を判定していくのです。

 

この主張に私は、大きな衝撃を受けると共に、なぜ社会人10年以上経っても、自分がこのような考え方に至らなかったのか、不甲斐なさを感じました。

 

大きな目標はあるものの、それはそれとして、毎日はただ漫然と仕事をしていれば、当然、「焦る」時期や、その後対策を立てる時期が後ろ倒しになり、結果として、ギリギリの目標達成になったり、目標未達成で終わってしまう時期が出てきてしまいます。

 

それを、「毎日、〇〇をやり切る」と決めて、毎日達成できたか出来ていなかったを確認すれば、1日1日を大切に一生懸命に過ごすことが出来ます。

 

また、毎日反省と改善を実施することで、今の戦略が正しいのか、効果が無いのかも、すぐに判断することが出来ます。

 

まずは、毎日を漫然と過ごすことをやめ、1日の目標を立てることから始めます。

 

〜 To Do 〜

1日単位の定量目標を設定し、毎日検証と改善を実施する。


〜②:毎日の結果を記録する〜

さて、日次の目標を立てることの重要性を書きましたが、もう一つ重要な点が説明されています。

 

それが、「毎日の結果を記録する」です。

 

そして、その記録の仕方にも特徴があります。

 

それは、「目標」「結果」「勝敗」の3つを書くことです。

 

つまり、「目標」に対して「結果」を書き、それが達成出来れば〇、出来なければ×とすることです。

 

その上で、〇であれば〇であった理由を、×であれば×であった理由を検証するということです。

 

このように記録を続けることで、プロセスと結果の関連性が見えてくるといいます。

 

例えば、家電量販店のPC販売の営業マンを想定してみます。

 

この営業マンが「月5件の契約を取る」という大目標を立てます。

 

これに対して、「毎日、3人のお客様と、10分以上話す」という日次目標を立てたとします。

 

そして、〇×の結果を記録していきます。

 

〇だったときは、3人とどのように話が出来たのか?

 

×だったときは、何故3人と10分以上会話が出来なかったのか?

 

そうすると、例えば以下のような特徴が出てくると思います。

 

×:

販売エリアにはお客様が何人かいたが、そもそも声掛けが出来なかった

お客様側に、話す時間が無かった 

時間つぶしにPCを見ているだけと言われた

 

〇:

好きなメーカーを聞けて、そのメーカーの特徴で盛り上がった

最近のPCメーカーの動向について説明したら、興味を持ってもらえた

期間限定キャンペーンについてポイントを整理して分かりやすく説明したら、興味を持ってもらえた

 

このように記録をとっていくと、

 

「効果的な最初の声の掛けかた」

「お客様の趣向や興味のある話を聞くための話題の振り方」

「キャンペーンの上手な説明方法」

 

など、独自のノウハウを向上させることができます。

 

逆に、毎日の勝敗の結果と分析を実施しないと、ただ漫然と

 

「今日は売れてよかったな〜。」

「今日は雨でお客さんが少なかったな〜」

 

といった感想だけが出てきて、具体的な改善に繋がりません。

 

つまり、

 

(1)毎日の目標に対する結果を記録する

(2)〇×の要因を分析する

(3)プロセスと結果の因果を把握する

(4)よりよい結果を導く改善策を講じる

 

このプロセスを回すことこそ、本当のPDCAであると言えます。

 

〜 To Do 〜
日次の勝敗を記録し、要因を分析する。

〜③:アイディア出しは「粗削りで無茶」から~

「高速PDCA」の特徴の一つに、「全ての方法を同時に取り組む」があります。

 

当然、一つの大きな目標に対して、選択できる手段は複数(あるいは無限に)あります。

 

ただ、コスト・時間・人手は無限にはありません。

 

ですので、思いつく全ての方法を本当に全て実行することはできません。

 

そこで、普通の企業であれば、いくつかの現実的な案を並べ、メリット・デメリットや時間的・予算的制約など、多面的なアプローチで総合的判断に基づき、選択すべき案を取捨選択します。

 

しかしながら、高速PDCAでは、このようにいくつかの案から更に抽出する方法は取りません。

 

やれる策は全て同時に実施し、効果を検証し、最も優れた方法を短期間で判別する方法を取ります。

 

そして、このように、実体験から得られたデータで「最も優れた方法」と判別できた方法に、今後のリソースを全て集中して費やし、最大限の効果を得る、というわけです。

 

この方法を取る際に、最も重要になるのが、「できるだけたくさんの方法を思いつく」ことです。

 

考え得る選択肢が1つか2つでは、結局、1つずつトライ&エラーを続けることと変わりません。

 

大量のアイディアの中から、やれそうな案を全て同時に試すことが重要になるのです。

 

そこで、「大量のアイディア」を出すための秘訣が本書に示されています。

 

特に、誰かと一緒にアイディアを考える際の秘訣です。

 

それが、「何でもいいから、粗削りでツッコミどころが多いアイディアを出す」です。

 

例えば、ソフトバンクで「ADSL」を一般家庭に普及させる際のキャンペーンで、孫社長が真っ先に上げた策が、

 

「モデムをタダで配れば良い!人通りが多い場所にイベントを設置し、道行く人に『目が合った』ら渡す!

 

です。

 

・・・目が合ったら渡すってwww

 

 費用はどうすの?

 

 投資回収は?

 

 説明も無しに渡しても、効果ないでしょ?

 

 いきなり押し付けて、クレームになったら?

 

などなど、ツッコミどころは満載です。

 

ただ、この発言の後、会議では

 

「『目が合ったら渡す』くらいなら、もっと●●という案の方が良いと思います」

 

「いやいや、こんな案はどうでしょうか?」

 

と、アイディア出しが活性化したそうです。

 

そもそも、アイディア出しの会議では、皆がウンウン唸ってしまい、中々発言が出ないこともあると思います。

 

それは、自分が出したアイディアが採用されるも上手くいかなかったら責任を取らされたり、あまり突拍子もないアイディアだとバカにされたり・・・など、発言すること自体に心理的ハードルがあるからです。

 

それを、その場のトップや発言力がある人が、敢えてツッコミどころの多いアイディアで口火を切ることで、周囲の人の発言ハードルを下げる効果が生まれると本書には記述があります。

 

これも即効性があり、現場で役立つ知恵です。

 

現在の日本の環境を考えると、人口が増え市場が右肩上がりで、前例踏襲でも前年対比成長する環境は終焉しており、いかにに新たな価値を生み出すかが競争の源泉となっています。

 

こんな中で、アイディア出しの段階でハードルやリスクを考えてばかりでは、育つべき種も育ちません。

 

チームの上層部が、敢えて道化を演じるという手法は、特に大企業や堅い職種であるほど有効なのではないでしょうか。

 

積極的に真似していきたいと思います。

 

〜 To Do 〜
ブレストの冒頭で、突拍子もないアイディアを敢えて出す。

〜まとめ〜

社会人を10年以上やっていて、この手法にたどり着いていなかったこと自体、本書を読んだ後では不思議でなりません。

 

そのくらい、考えてみれば当たり前且つ非常に有用な技術であると思いました。

 

しかも、業務においてのみならず、試験勉強だったり、貯金だったり、ダイエットだったり、早起きの習慣であったり・・・と、プライベートも含めて、自身を向上させるために広く使える方法だと思います。

 

とにかく飽きやすく、様々なことを思いついては挫折して・・・という私ですが、今回はどこまで継続できるか、さっそく取り組んでみたいと思います。

 

〜 To Do 〜
1.1日単位の目標を設定し、毎日検証と改善を実施する。

2.日次の勝敗を記録し、要因を分析する。

3.ブレストの冒頭で、突拍子もないアイディアを敢えて出す。