『心をつかむ超言葉術』

2020年03月04日 第1刷発行

 

著者:阿部 広太郎

 

発行所:ダイヤモンド社

 

【著者紹介】

1986年3月7日生まれ。埼玉県出身。中学3年生からアメリカンフットボールをはじめ、高校・大学と計8年間続ける。慶應義塾大学経済学部卒業後の2008年、電通入社。人事局に配属されるも、クリエーティブ試験を突破し、入社2年目からコピーライターとして活動を開始。「今でしょ!」が話題になった東進ハイスクールのCM「生徒への檄文」篇の制作に携わる。そのほかにも、尾崎世界観率いるクリープハイプがフリーマガジン「R25」とコラボしてつくったテーマソング「二十九、三十」の企画。松居大悟監督による映画「アイスと雨音」「君が君で君だ」のプロデュース。ソーシャルエンターテイメントの「ダイアログ」シリーズのクリエーティブディレクション。作詞家として「向井太一」や「さくらしめじ」に詞を提供。自らの仕事を「言葉の企画」と定義し、映画、テレビ、音楽、イベントなど、エンタメ領域からソーシャル領域まで越境しながら取り組んでいる。

2015年より、BUKATSUDO講座「企画でメシを食っていく」を主宰。 (著者紹介より抜粋)

 

【オススメ度】  
 読みやすい度 ★★★☆☆
お役立ち度 ★☆☆☆☆
年下の本でショック度 ★★★★★

先週末は雪が降りましたが、今週はやっと春らしい陽気になりました。

 

桜がキレイに咲いて、花見も盛況だったようですね。

 

世界的にはいまだにウイルスの猛威が治まっていませんが、可能な予防を実施して、過度な自粛にはならないように生活していきたいものですね。

 

では、今週の1冊です。

 

お客様先から直接帰る日に、たまたま本を持ち合わせていなかったので、書店で購入した1冊です。

 

冒頭から「I LOVE YOUを、あなたならどのように翻訳しますか?」という書き出しで始まり、興味を引かれたので購入しました。

 

読みやすい文体で一気に読めましたが、思ったほど参考になる内容は少なかったです。

 

先程、著者紹介を書いていて、ついに自分より年下の本をレビューしていることに気づき、軽くショックを受けております。

 

コピーライターということで、過去の作品もふんだんに紹介されており、同業であれば非常に参考になる本だとは思います。

 

また、HPの書き方にも一部言及されており、そこはさっそく取り入れてみました。

 

(本HPの「読書のページ」の表示方法を変えてみました。)

 

それでは、本書の内容から感銘を受けた3つをご紹介致します。 


〜DJポリスは語り掛ける〜

2013年、サッカー日本代表がW杯出場を決めた時、渋谷のスクランブル交差点は喜びを大爆発させるサポーターで賑わいました。

 

ハイタッチ・胴上げ。

 

このまま放置したら、交通に影響があると判断した警官が、熱気あふれる若者に語り掛けました。

 

俗に言う、「DJポリス」です。(このネーミングもウマイと思います。)

 

DJポリスは、サポーターを「12番目の選手」と言い換え、次のように語りました。

 

12番目の選手の皆さん

 

ルールとマナーを守ってフェアプレーで今日の喜びを分かち合いましょう。

 

皆さんがそのように交通ルールを無視していると、おまわりさんからイエローカードが出るかもしれません。

 

目の前の怖い顔をしたおまわりさん。

 

心の中では日本代表のW杯出場を喜んでいるのです。

 

どうか皆さん、おまわりさんの言うことを聞いてください。』

 

その場にいたサポーターの心と行動が変化し、混乱は収縮し、騒動は収まったそうです。

 

(テレビでその様子を見たことがある方も多いのではないでしょうか?)

 

ただ、交通ルールを守るように話すだけでなく、その場のサポーターを「12番目の選手」と言い換えることで、自覚と自制心を促した言葉のチョイスには、見習うべきポイントがあります。

 

また、目の前の警官も「本当はあなた達と同じように、喜んでいるのだ」ということを伝え、共感を得られるようにし、警官の言うことに従ってもらえるように語り掛けています。

 

まさしく、言葉の持つ力を示す好例だと思いました。

 

 


〜身の回りの事象を名付けてみる〜

この著者が開いている勉強会で、ある日こんな課題をやったそうです。

 

あなたの身の回りでよく見掛ける事象に、名前を付けてください

 

名付けるという行為は、共有することでもあります。

 

この時、最低限抑えるべきことは以下3点と言います。

 

①名付けられていないものか

 ⇒すでに別の名付けがあるなら、わざわざ言い換える必要はない。

 

②本当に言うかどうか

 ⇒奇抜なネーミングをしても、自分自身が言い続られるものか?

 

③短く強く呼びやすく

 ⇒読みやすさと呼びやすさを重視

 

それでは、いくつか紹介されていた名付けの中から、私が特に気に入った3つをご紹介します。

 

第3位

 

『しつもんニョッキ』

 

意味:講演会やトークイベントなどの質疑応答の場面で、一人が手を挙げるまでは時間が掛かるけれど、そこから一気に増えてタイムオーバーになること。

 

 

第2位

 

『ワイファーイ』

 

意味:人数の多い飲み会で、席が遠いゆえに、カンパイに行けない人への乾杯したい気持ちのこと

 

 

第1位

 

『飲み狭間の戦い』

 

意味:飲み会でちょうど真ん中の席に座ってしまい。左右どちらのグループの会話に入ったらいいか悩む様子。

 

 

 

どれも秀逸ですね。

 

番外編として、私からも一つ。

 

 

『遠慮のかたまり』

 

意味:飲み会の大皿料理で、手を付けられずどんどん冷めてしまう最後の1個達のこと。

 

 

なんだか、飲み会の言葉ばかりになってしまいましたね。

 

気に入って頂いたら、是非どこかで使ってみて下さい。

 

 


〜I LOVE YOUをどう訳す?〜

冒頭に紹介致しましたこの言葉。

 

夏目漱石が以下のように翻訳したことは有名な話だと思います。

 

『月が、綺麗ですね』

 

本当に、美しい言葉選びだと思います。

 

本書には、こんな言葉が紹介されていました。

 

「あ、消しゴム落ちたよ」

 

「卒業したから、生徒じゃないです」

 

「全部あなたに出会うためだった」

 

「今、会えない?」

 

「あなたのこと、もっと知りたいんですけど」

 

「小さいころよく遊んでいた場所、見てみたい」

 

「半分こにしようか」

 

 

どれも良い響きですね。

 

この課題は、その人「らしさ」がにじみ出るそうです。

 

この本を読みながら、自分ならどう書くかなぁ、とずっと考えていました。

 

みなさんなら、いかがですか?

 

上手くはありませんが、私の訳を書いて終わらせて頂きます。

 

I LOVE YOU

⇒「君とのお酒が、一番美味しい」

 

・・・恥ずかしいですね。以上です。ありがとうございました。