著者:サミュエル・スマイルズ
訳者:竹内 均
発行者:押鐘 太陽
発行所:三笠書房
【著者紹介】
イギリスの著述家。はじめ医者であったが、本書『自助論』の大成功後、文書に専念する。本書には、至るところに深い人生の知恵があふれており、生き方の根本を鋭く説く「不朽の名著」として、世界的なベストセラー&ロングセラーになっている。本書のほかに『向上心』等がある。
(著者紹介より抜粋)
【オススメ度】 | |
読みやすい度 | ★★★☆☆ |
お役立ち度 |
★★★★★ |
苦境に立った時にこそ読みたい度 |
★★★★★ |
いよいよ、2020年も最終週ですね。
読書のページの更新も、本年はこれが最終回です。
それと、先週お伝えしました通り2次試験対策を根本的に見直さなければいけない状況です。
ですので、来年は2次試験対策用に専門学校に通学することにしました。
週2コマが毎週続く、結構ハードっぽいやつです。
ですので、趣味の読書は続けるとしても、このページの更新は次回2次試験が終わるまで、一旦オヤスミ致します。
もし、毎週この更新を楽しみにして下さっている方がいらっしゃったら、申し訳ございません。
この1年は充電期間ということで、(多分)パワーアップして再開致しますので、何卒ご容赦下さい。
それでは、今年最後の1冊です。
とある先輩診断士の方がブログで紹介されていて、気になった1冊です。
敢え無く2次試験に不合格だった人にオススメとあり、これも何かの縁だと購入しました。
結果、現在の私にピッタリな内容でした。
(それなりの金額を払って)、1年間の通学対策を決めたのも、この本の影響が大きかったです。
相変わらず大量の付箋を貼ってしまいましたが、何とか3つに絞れました。
「天は自ら助くるものを助く」
この、あまりにも有名な言葉が、ストンと腹に落ちる感覚を、少しでもお伝えできればと思います。
「社会に偉大な業績を残した人間でも、その長年の苦労がなかなか世間から認められなかった」
という例を、本書では多く取り上げています。
事例だけ抜粋しても、以下の通りです。
アダム・スミス(経済学者):国富論が社会に認められるまでに70年経った
オーデュボン(鳥類学者):長年書き溜めた200枚以上の鳥のスケッチが、長期出張中に知人に預けたが全てネズミに食いちぎられた。
ニュートン(科学者):飼い犬がローソクを倒してしまい、貴重な書類が全て灰に。
トマス・カーライル(歴史家):フランス革命の原稿を友人に貸与したが、友人は存在を忘れ、その家の女中が不要紙と勘違いし暖炉で燃やしてしまった。
ウィリアム・ハーベー(医者):血液が体内を循環している事実を発見し、10年近くの研究で正しさを確かめて世に発表した。しかし、嘲笑と侮辱の毎日で友人も疎遠になり医者の仕事も満足にできなくなってしまう。一般に認められるまでには、更に25年の年月が必要だった。
エドワード・ジェンナー(医者):天然痘のワクチンを、「牛痘にかかった者は天然痘にかからない」という牛飼いの口伝を信じて開発。しかし、医学会から追放されてしまう。世間に受け入れられるまで20年間、研究を続けた。
チャールズ・ベル(医者):脊髄神経には、二つの働き(人間の意思を伝える働きと、感覚を伝える働き)があることを提唱するが、嘲笑と反論にあい、開業医として生計が保てなくなる。
ウィリアム・ハーシェル(天文学者):オーボエ奏者として生計をたてる中、天文学への興味が高じ、手製の望遠鏡を200台以上作成。遂に天王星を発見する。
このように、過去に偉業をなしている人物も、順風満帆だったわけでは無く、苦境に立たされた経験は多い、と本書には紹介されています。
診断士試験を3度も失敗し、進むも戻るも苦境という私の状態が、いかに大したこと無いか考えさせられます。
仕事においても、大切なビット案件にことごとく敗退し、久々にノルマの達成自体が赤信号状態と、2020年は自分に取っては良い運気ではありませんでした。
しかしながら、仕事と会社は安定して継続しており、生計面では不自由を感じていないこの状態は、冷静に考えれば相当に恵まれた環境であることを、つい忘れがちです。
試験の不合格にしても、「現在の自分の力が、スタートラインにすら立てない程度である」ことを客観的に知れているということかと思っています。
もし、試験当日だけ神がかり的に素晴らしい答案が書けて合格できたとしても、「診断士の資格を取る」ことが自分のゴールでは無く、「診断士資格を活かした人脈を基に、活動の幅を広げる」ことが目的である自分にとって、実力不足でのマグレ合格は、むしろ今後の活動にマイナスに働くと思います。
本当の苦境はこんなものでは無いと捉え直し、来年は真剣に自己研鑽に取り組んで参ります。
〜 To Do 〜 |
苦境にあれば成長出来る例を学び、真剣に自己研鑽に取り組む。 |
本書には逆境を脱する美徳として、以下の4つが掲げられています。
です。
特に、倹約と節制は、優れた人格者の基礎となる資質、つまり、分別・先見性・克己心を備えている証拠になる、と本書にあります。
(以下、引用)
物心両面で自立しようと望むなら、ひたすら節約を励行するに限る。節約にはずば抜けた勇気もすぐれた美徳もいらない。ちょっとした気構えと人並みの精神力さえあれば十分だ。節約とはつまるところ、家事万端を秩序正しく管理することである。生活を規則通りにつましく切り盛りして、ムダを省いていけばよいのだ。
(中略)
節約と吝嗇(りんしょく)とはまるで違う。節約は心のゆとりを生み、それが気前の良さとなって現れる。この意味で「節約は思慮分別の娘であり、節制の姉、そして自由の母である」といえるだろう。要するに節約とは、自助の精神の最高の表現にほかならない。
(引用、ここまで)
自身の実入りの範囲内でつましく生活する。
それが、「自助の精神の最高の表現」とまで書かれています。
私は節約が苦手です。(あと、ダイエットも。)
「金は使う人のところに入ってくるんだ!」と、気軽に消費していました。
さすがに資金繰りに窮してしまう自体には陥りませんが、浪費家と言われるとそれまでです。
「ストレスを溜めるくらいなら・・・」
「人生を楽しむために労働しているんだ!」
と、自分自身に言い訳をしていましたが、この考え方と行為そのものが、自助の精神から遠く離れていたことに愕然としました。
2021年は受験生のような生活になる予定です。
高校生の頃を思い出し、つましく節約した生活を送れるよう、気持ちを入れ替えようと思います。
〜 To Do 〜 |
高校生の頃を思い出し、勤勉・節制・倹約する。 |
今の自分が最も勇気をもらった章で締めたいと思います。
(以下、引用)
「ある少年と他の少年との差は、才能よりむしろ活動力の優劣によって決まる」とアーノルドは指摘したが、これは大人にも当てはまる。粘り強さや活力は、最初は他人から与えられたとしても、しだいに本人の習慣として身についていく。コツコツ努力する劣等生は、必ずや飽きっぽい優等生を追い抜くだろう。遅くとも着実に歩むものが、競争では最後に勝つのだ。
(引用、ここまで)
そして、少年時代は劣等生でありながら、聡明な大人に成長した「大器晩成型」の人間として、
ピエトロ・デ・コルトーナ(画家)
ニュートン(科学者)
アイッザック・バロー(聖職者)
シェリダン(政治家・劇作家)
ウォルター・スコット(詩人)
ロバーロ・クライブ(軍人・政治家)
ナポレオン
ユリシーズ・グラント(米国総司令官)
ハンフリー・デイビー(化学者)
などなど、多くが紹介されています。
そして、「若い頃の利発さは、欠点にさえなりかねない。何でも手際よく覚えることもは、それだけもの忘れも速いし、忍耐や努力という資質を磨き上げない。ところが、忍耐と努力こそがすぐれた人格形成に一番大切な要素である」と本書に指摘されています。
「今日の私を築き上げたのは、ひとえに自分自身の力である」(デイビー)
「人格こそ一生通用する唯一の宝だ」(スマイルズ)
日本においても、昔から学校で教えられているような言葉。
先進の起業家には「カビの生えた古臭い理屈」と言われそうな言葉。
勤勉、節制、倹約、地道な努力、人格形成。
少なくとも、本書の原書が出版された1858年。。。160年以上も前に、上記のようなことが言われていたということです。
「近年はテクノロジー進歩の速さが従来の比では無く、5年先も分からない。だから、価値観はアップデートすべきだ」
という論調をあちこちで目にし、耳にします。
そういった理論も、いわゆる「成功者」が唱えており、十分に説得力があります。
しかし、本書や中村天風氏、稲盛和夫氏などの著書には、このような「昔からの当たり前」を愚直に行うことが美徳であると、繰り返し書かれています。
私自身、早熟で器用なタイプだと思っていましたが、そう思いたいだけで、むしろ不器用で立ち上がりは遅いタイプなようです。
気取って早熟っぽい振る舞いをしても、自分に合わずに無理が祟りそうなので、本書を生き方の指針として、まずは来年1年間を「努力多い1年」にしたいと思います。
〜 To Do 〜 |
勤勉・節制・倹約・地道な努力で人格形成に努める。 |
いかがだったでしょうか?
今週で、「読書のページ」の更新は一旦中断です。
来年は本格的に受験対策をして、「受験生」を名乗ろうと思います。
ですので、このHPの更新自体、一旦ストップしようと思います。
来年、パワーアップして帰ってこようと思います。
それでは、また!
〜 To Do 〜 |
1.苦境にあれば成長出来る例を学び、真剣に自己研鑽に取り組む。。 |
2.高校生の頃を思い出し、勤勉・節制・倹約する。 |
3.勤勉・節制・倹約・地道な努力で人格形成に努める。 |