2017年4月17日 第1刷発行
著者:吉田 幸弘
発行者:石野 栄一
発行所:明日香出版社
【著者紹介】
成城大学卒業後、大手旅行会社を経て学校法人へ転職。1年間で70件以上の新規開拓をし、広報リーダーになるも、「怒ってばかりの不器用なコミュニケーション」でチームをガタガタにしてしまう。結果、職場を去らなければならない羽目になり、外資系専門商社に転職。
転職後も、周囲のメンバーとうまくコミュニケーションが取れず、降格人事を経験し、クビ寸前の状態になる。
その後、異動先で出会った上司より「伝え方」の大切さを教わり、ポイントを絞って分かりやすく伝える方法を駆使し、劇的に営業成績を改善。5か月連続営業成績トップになり、マネージャーに再昇格。
(著者紹介より抜粋)
【オススメ度】 | |
読みやすい度 | ★★★★☆ |
お役立ち度 | ★★★★☆ |
パワハラ上司に読ませたい度 | ★★★★★ |
〜はじめに〜
先日、診断士の2次試験(筆記試験)の合格発表でした。
こんなHPを運営しておきながら大変お恥ずかしい話ですが、今回も合格に至りませんでした。
反省と次回への対策は、結果が返ってきたら行うこととし、さっそく1次試験の通信教育を申し込みました。
というわけで、これからは来年の1・2次試験対策にも相応の時間を費やす見込みなので、今週から1週1冊のご紹介にさせて頂きます。 スミマセン。
試験対策のページは、都度リニューアルして参ります!
では、気を取り直して、今週の1冊です。
最近、私がよく本屋に行き、家でも読書や勉強をしている影響からか、家族も本屋に行きたがるようになりました。
それで、毎週土日のどちらかは、家族で近所のBookOffに行くようになりました。
準新刊が半額程度で購入できるので、重宝しております。
本書は、リーダーの役割について改めて学びたいと思っていた中、先週のBookOff訪問で目に付いた1冊です。
「三流、二流、一流のリーダーが、どのような振る舞いをするか」という目線で、48のケースが紹介されています。
特に気に入った3つをご紹介いたします。
三流は、速さにこだわり
二流は、早さにこだわり
一流は、どうする?
部下に頼んだ仕事が期日通りに終わらない原因は、大抵は「速さ」では無く「早さ」に原因があります。
「速さ」は、作業のスピード。
「早さ」は、着手する日付の早さです。
どんなに手が速くても、他人の10倍や20倍ものスピードで作業をこなすことは出来ません。
それなのに、人によってアウトプットの質やスピードが全然違うのは、着手する日付の違いです。
特に、不慣れで、全体の手順やゴールイメージが湧かない仕事ほど、まず手を付けて、難易度や所要時間をイメージすることが肝要です。
・・・と、ここまでは私も知っており、自分で実践していたことですが、このレベルはまだ二流だそうです。
では、一流のリーダーはどうするかというと、部下に「早く」着手させる前に、今のタスクを洗いださせます。
そして、本来なら優先不要なことや、やらなくても良いことを見つけ、それを後回しにしたりやめさせたりするというのです。
その結果、無駄な業務が無くなり、重要な業務にリソースを集中できます。
実際に、「昔からやっている」という理由で、詳細な会議資料を作成していたが、作る方は膨大な作業をしつつ、見る方は「数字が多くて細かいから」とロクに見ないで、自分自身で俯瞰的な数字を他者から聞いている。。。
なんて、冗談みたいな現象に巻き込まれたことが私にもあります。
部下の業務が多忙である時こそ、業務の棚卸と整理の好機でもあります。
三流は、速さにこだわり
二流は、早さにこだわり
一流は、仕事を無くすことにこだわる
三流は、有能なリーダーを演じ
二流は、ものわかりの良いリーダーを演じ
一流は、どうする?
リーダーになったばかりの人は、「自分は誰よりも仕事が出来て、何でも知っていなければいけない。」と構えてしまいがちです。
しかし、現代のようのに流れが速い時代では、業務のことを全て知りつくすことは不可能です。
しかも、完璧なリーダーであれば、部下はリーダーに「おんぶにだっこ」になってしまい、主体性の無い部下となってしまう危険があります。
そもそも、主役は部下であり、リーダーはサポーターであるべきです。
そのため、部下から明らかに間違った意見や進め方の発言があっても、すぐには否定せず、「君はそう考えるか」「なるほど、その見方もあるね」と、受け入れることが重要です。
・・・しかし、これではまだ二流であると、著者は指摘しています。
一流のリーダーは、部下に甘えて教えを請います。
「さすが、A君だね。あの資料は良かったよ。どうやって作ったのか、教えてくれないかな?」
「あの難しいお客さんからこの価格で応諾を得るとは、Bさんは違うね!なにか秘訣はあるかな?」
この方法には、2つの利点があると言います。
1つ目は、部下の承認欲求を満たす点。
2つ目は、部下の知識が自身に定着する点です。
また、このように自身の強みを他者に伝播していくことで、部下全員が1つのチームである意識が醸成されるとも説明されています。
(このあたり、診断士試験にも度々登場しますね。モラールと貢献意欲の向上ですね。)
リーダーが、露骨に、急に態度を変えると部下も不信がるでしょうから、完璧型リーダーの人の場合は、まずは部下の行動を認めて褒めることから始めると良いと思います。
三流は、有能なリーダーを演じ
二流は、ものわかりの良いリーダーを演じ
一流は、無能なリーダーを演じる
三流は、作業を与え
二流は、自由を与え
一流は、どうする?
リーダーの中には、部下を一人前と見なさず、業務のやり方や進捗まで、詳細に指示を出す人がいます。
いわゆる、マイクロマネジメントです。
部下が社会人1年目等の初任者であれば、このような詳細なサポートを必要とする時期もあるでしょう。
しかし、部下全員に同じマネジメント手法を使ってしまっては、部下はやる気を無くしたり主体性を失ったりしてしまいます。
「この部分は、C君の思った通りにやって下さい」など、一部でも良いので、部下が自由に出来る部分を与えることが重要なことは、皆様も賛同して頂けるのではないでしょうか。
しかし、これだけでは二流であると、著者は言っています。
どんな業務にも、期日通りに相応のアウトプット(=成果)を出すことは、業務の基本中の基本であり、そのためには、「責任」がついてきます。
一流のリーダーは、部下に「責任」与えます。
とはいえ、全責任を部下に負わせることは、当然ですが言語道断です。
責任丸投げ上司として、信頼を失墜させることでしょう。
そもそも、責任には三種類あると、著者は説明しています。
①遂行責任
②報告責任
③結果責任
部下に負わせるのは、①遂行責任と、②報告責任です。
この2種類を「我が事」として理解させないと、チームとして崩壊します。
逆に、この2つさえしっかりやっていれば、結果が芳しくなくても上司が責任を取ってくれると思えば、部下は安心して業務に取り組めます。
また、遂行すること、定期報告することさえ守るなら、やり方自体は部下が自由に決められるので、主体性も担保できます。
業務は趣味ではないので、一個人としての自由・裁量の部分と、企業人としての責任をバランス良く与えるマネジメントが肝要である、と著者は述べています。
全く持って正論であり、自身の職場でも伝播していきたいと思います。
三流は、作業を与え
二流は、自由を与え
一流は、責任を与える