2017年2月7日 第1刷発行
著者:飯野 謙次
発行者:山本 周嗣
発行所:株式会社文響社
【著者紹介】
1959年大阪生まれ。東京大学外学院ん工学系研究修士課程修了後、General Electric原子力発電部門へ入社。その後、スタンフォード大学で機械工学・情報工学博士号を取得し、Ricoh Corp.へ入社。2000年、SYDROSELPを設立、ゼネラルパートナーに就任。2002年、特定非営利活動法人 失敗学会副会長となる。2013年、消費者庁安全調査委員会専門委員を経て、現在臨時委員。
(著者紹介より抜粋)
【オススメ度】 | |
読みやすい度 | ★★★★☆ |
お役立ち度 | ★★★★☆ |
マスターしたい度 | ★★★★★ |
随分、寒くなってきました。
忘年会シーズン、クリスマス、年末年始とイベントが多くなって参りました。
周囲ではインフルエンザが猛威を振るっております。
体調管理・手洗いうがいには十分気を付けましょう。
現在、12/22の16:20です。
夕方に始まるM-1グランプリに間に合わせたいので、ガシガシ行きます。
本書は、後輩に伝えたいために読みました。
というのも、仕事の速さとミスの少なさは、自分の密かな自慢だったりするのです。
ただ、「どうすれば良いのですか?」に対して、答えが無いのです。
自分が苦手であったことに対して、努力して出来るようになると、他人にも努力の方法や方向性を教えることができます。
逆に、元々得意な事というのは、「出来ない」感覚が分からないので、具体的な向上策を教えることが難しいものです。
そこで、本書を参考にしてみました。
具体例を交えながら、失敗の要因を大きく4分類しています。
非常に分かりやすい分類だったので、ご紹介致します。
いわゆる、「うっかりミス」が含まれるミスです。
『申し訳ありませんでした、以後気を付けます』
こんな謝罪では、一向に無くならないミスです。
なぜなら、人間は、活動時間の全てに対し100%の注意を向けたまま活動することが出来ないからです。
ではどうするのか?
①注意するタイミングを決める
②ダブルチェックをする
この2つをやり切れば良いのです。
作業中、常に「タイピングミスをしない」とか、メール作成中に「情報漏洩をしないように・・・」なんて考えながら作業していても、脳のワーキングメモリ(※)を無駄遣いして、作業が遅くなるダケです。
(※:短期的にモノを覚えておく部分。スペースは、3つとか7つとか言われています)
メール送信なら、宛先を選ぶ時と、送信する直前に、送信アドレスをチェックすれば良いだけです。
但し、「必ず」チェックすることが必要です。
うっかりミスをする人ほど、この「必ず」やるチェックを怠ります。
(蛇足ですが、うっかりミスが多い人の机は、乱雑で整理されていない傾向にあると思います)。
毎日何十通メールを送ろうが、送信先を確認することは基本中の基本で、そこをチェックしない人間には重要な案件を任せたくありません。
うっかりミスが多い人は、チェックをするタイミングとダブルチェックの仕組みを考え、自身でルール化することが再発防止の近道となります。
作業を依頼する人から、作業者への情報伝達が上手くいかないケースです。
締め切りや作業の目的が十分に伝わらず、ミスにつながるケースです。
伝達不良を避けるには、重要な前提条件があります。
それは、「100%は伝わらない」ことを認識することです。
特に、同じチームの中で「当然」伝わると思っている事ほど、前提条件のズレが、そのまま認識のズレに繋がります。
伝達不良を回避するには、情報の出し手、受け手とも、工夫が必要です。
最も有効な策は、「自分の言葉で言い換える」です。
受け手の方は、相手の言ったことを自分なりに言い換えて確認をする。
出し手のほうは、別の言い回しにして再度念を押すか、文字に記して共有することが有効です。
話し言葉より書き言葉の方が客観性がある上、後々残るので有効です。
日々の業務が多忙であり、ワザワザ記録に残せない気持ちは良く分かりますが、伝達不良によるアウトプットのズレは、そのまま時間の浪費に繋がります。
むしろ、最短の時間で最良のアウトプットを期待するために、最初の指示の時点での一手間は惜しむべきではないでしょう。
また、情報の出し手と受け手との能力・情報量の違いによる理解力の差も無視できません。
これは、情報の出し手が受けての理解力を推量し、理解が出来ているかを良く確認することが有効です。
特に、上司と部下の関係であれば、部下が理解できていないのは上司の責任と捉え、相手の目線に立ったコミュニケーションが、後々のトラブル回避には極めて重要です。
「知らなかった」ことに起因するミスです。
一昔前に話題となった、「想定外」も、この分類です。
現在の我々の周囲は、娯楽やエンタメ情報が、それこそ消化し切れないほど溢れています。
そのせいと決めつけることは早計ですが、現在の我々は慢性的に学習不足の傾向があります。
特に、「ワークライフバランス」の考え方で、仕事とプライベートを完全に切り離した考え方が、昨今では強まってきているように感じます。
ワークとライフを切り離しても良いのですが、結局は自分自身の人生は一つなので、余暇に自己研鑽に励む人はワークが充実して、昇進・昇給・やりがいのある仕事等につながります。
逆に、余暇時間を娯楽にのみ使用していると、常に向上している人との差は広がる一方で、仕事中の劣等感やストレスは高まっていくでしょう。
私自身、この両方を経験しているので、どちらの気持ちも良く分かります。
自分自身を振り返ってみると、余暇時間に自己研鑽を出来るようになった最初のキッカケは、FP1級に合格したら10万円貰える、会社の報奨制度だったように思います。
また、合格後の周囲からの賞賛が、次の試験への原動力になりました。
今は、通勤時間を読書に充てる動機の大部分が、このページを更新する目的になっています。
何が言いたいかというと、学習の動機は「不純」で良いということです。
初めから崇高な思いでは、頭で理解できていても心がワクワクしないので、「動機づけ」がなされません。
まずはやってみる。
で、効果を実感する。
だからまたやってみる。
こんな単純な成功体験を繰り返すと、いつのまにか、自然に、自己研鑽に勤しむ自分が出来上がります。
周囲に、努力しない人が溢れていれば、それだけ自分が目立つので短期的には有効なのですが、やはり長期的目線に立てば、自身のチーム・組織が向上心の高いメンバー構成で、互いに切磋琢磨できる環境がベストだと思います。
現在、努力不足の人は少しでも変わろうとし、努力出来ている人は、周囲にプラスの影響を与えて行ければ最高ですね。
最後は、計画不足です。
とても間に合い切れないスケジュールや、複数の同時進行案件など、時間的にバタつくとミスが増えます。
また、十分な準備無しに本番を迎えたプレゼンや、直前まで対策をしなかった試験など、準備にリソースを裂けない場合、ミスに繋がります。
対策は単純ですが、対策時間の正確な見積り、必要時間の確保、成功までの有効なステップの立案など、正確な計画を策定すること以外にありません。
そのためには、「計画を立てる」訓練と、その結果の反省が重要です。
何でもいきあたりばったりや、他人が決めてくれた計画に沿って作業をしていると、作業の慣れにより早く正確にこなせるようにはなっても、「計画を立てる」の経験値が上昇しません。
これでは、新しいことや、自分がリーダーになって案件を進めることが、いつまでたってもできません。
間違っても良い、守れなくても良い。
まずは、自分なりに計画を立て、守る努力をしてみることから始めましょう。