診断士2次試験は、数ある資格試験の中でも、非常に独特な試験です。
どのように独特なのか?特徴を列記して参ります。
1.正答の公表が無い
1次試験は模範解答の公表があるのですが、2次試験は、正答の公表がありません。
従って、どんな勉強をどのようにすれば良いのか、何を目指せば良いのか、非常に悩みます。
2.問題がフワッとしている
問題文が、「ズバリ、コレ!」という聞き方ではなく、一見すればどうとでも答えらえる聞き方です。
例えば、筆者が受験した平成30年度の問題では
『A社の組織改編にはどのような目的があったか。』
『B社は、X市の夜の活気を取り込んで、B社への宿泊需要を生み出したいと考えている。B社はどのような施策を行うべきか。』
『わが国中小企業の経営が厳しさを増す中で、C社が立地環境や経営資源を生かして付加価値を高めるための今後の戦略について、中小企業診断士として助言せよ』
『D社が受注したサポート業務にあたる際に業務委託を行うことについて、同社の事業展開や業績に悪影響を及ぼす可能性があるのはどのような場合か。また、それを防ぐにはどのような方策が考えられるか。』
……なんでもありやん!?
と最初は戸惑うと思います。
3.与件文が長い
上記のA社〜D社について、経緯や現状、競合の状況、社長の関心事……
といったことが書かれている文章が与えられます。
「与件文」と言われております。
これが、A4で3〜4頁あり、読むだけで時間が掛かります。
また、一読では頭に入らず、2度・3度と読み直さなければ詳細まで腹落ちしません。
4.試験時間が80分である
後述しますが、試験には4つのテーマがあり、それぞれ80分で解答します。
1テーマあたり、4〜5問の問題が出題され、それぞれ40字〜100字程度での解答が求められます。
概算で500文字程度です。
「80分」と聞くと、「長いなぁ」と思われるかもしれませんが、実際に解いてみると、最初の段階では、絶対的に時間が足りません。
よって、80分のタイムマネジメントは非常に重要になります。
5.合格率が毎年20%程度で一定
1次試験は、マークシートで60%以上の正解率であれば合格できます。
もし仮に、受験者が全員60%以上の正答を書けたら、1次試験合格率は100%となります。
しかし、2次試験は上記の通り、①正答が発表されず、②問題の解答可能範囲が広く、③記述式である、という特徴から、絶対的な採点基準は無いと言えるでしょう。
つまり、実質は、2次試験者同士の相対評価で、上位20%が合格出来る試験と言えます。
出題テーマは4つです。
事例Ⅰ:組織・人事に関する事例
事例Ⅱ:マーケティングに関する事例
事例Ⅲ:生産管理に関する事例
事例Ⅳ:財務分析に関する事例
(それぞれのリンクに、各特長と、筆者のファイナルペーパーを添付しております。)
【上記がテーマである】という大前提を忘れて解答を書くと、、悲惨な目に合います。
まずは、しっかりと頭に叩き込む必要があります。
2次試験対策を始めて最初に挫折しかけるのが、以下のパターンだと思います。
「どう答えて良いか全然分からない」
↓
参考書や大手予備校の模範解答を読む
↓
「なぜその解答が模範なのか、やっぱり分からない」
↓
とりあえず、模範解答を覚えてしまう
↓
過去問は答えを知っているから解けるが、模試等で初めて見る問題には対応出来ない
という負のスパイラルだと思います。
筆者は、それではダメだと思ったので、独力での過去問対策はほとんどしませんでした。
代わりに、通信教育で指定された過去問やオリジナル問題を、必ず「80分」キッチリで仕上げる
という制約を課し、継続しました。
通常業務を行いながら、80分というまとまった時間を確保するためには、様々な制限をし、家族にも多大な協力を得ました。
その結果、次第に以下の能力が磨かれてきました。
☆与件文のキーワードを見逃さない
☆事例企業のSWOTを、正確且つ迅速に判断する
☆問題文に対し、主観を排除し、与件文に沿った解答をする
☆多面的な構成で解答をまとめる
☆80分の時間を、効率的に「読む・考える・書く」に配分する
これは、毎日の答練を、「80分」を意識し、常に本番だと思いながら打ち込んできたから身についた技術だと確信しています。
まさに、訓練する といった感覚です。
長くなってしまったので、ここらでまとめます。
模範解答が無く、採点基準の公表も無く、実質は相対評価である2次試験
絶対的な正解が無いので、勉強の仕方も千差万別です。
ですから、合格体験記でも、各学校のメソッドでも、様々な対策が紹介されています。
筆者は、どんなやり方でも良いと思っています。
しかし!どのようなロジックも、メソッドも、知識も技術も、本番で活かせなければ何の意味もありません。
で、あるならば
「常に本番だと思って、真剣・真面目に答練を積む」
この、愚直で泥臭い努力無しに、2次試験は突破出来ないと確信しています。
ここが、1次試験対策と大きく異なると思います。
筆者が心折れそうな時、とある合格体験記の、こんな言葉に励まされていました。
「診断士試験は、企業のコンサルを生業とする資格の試験。限られた時間で、最大限の分析・助言を、診断レポートに仕上げるという、コンサルに不可欠な能力を試す試験である。2次試験対策は、その技術を磨く訓練である。」
2次試験は、診断士資格を取得するにあたり、避けて通れない試験であり、また、貴重な訓練の機会であるとも思います。
合格を目指して費やした努力は、試験の合否に関わらず、必ず自身の能力UPに直結すると信じています。
折れずに、地道に、実直に。努力を惜しまなければ、必ず道が開けます!
……2次試験対策が非常に苦しかったので、つい、根性論みたいになってしまい、しかも長文になってしまいました。申し訳ございません。
もう少し読みやすい文章を心掛けますが、想いの強さの表れということで、ご勘弁下さい。