『鋼のメンタル』

2016年8月20日 第1刷発行

 

著者:百田 尚樹

 

発行者:佐藤 隆信

 

発行所:新潮社

 

【著者紹介】

1956年大阪市生まれ。作家。著書に『永遠の0』『ボックス!』『風の中のマリア』『影法師』『幸福な生活』『プリズム』『海賊とよばれた男』『大放言』『カエルの楽園』など多数

(著者紹介より抜粋)

【オススメ度】  
読みやすい度 ★★★★☆
お役立ち度

★★★★☆

ツライ心を癒やしてくれる度

★★★★☆


久々の3連休ですね。

 

ですが、感染が拡大してきて、またまた外出自粛ですね。

 

もう、開き直って買ってやりましたよ。

 

 

 

桃太郎電鉄 SWITCH版!

 

もう、これを遊ぶためにSWITCHを買っておいたと言っても、過言ではない!

 

くらい待ちわびていました(笑)

 

さっそく、小学4年生の長男と一緒にプレイして、マメオニ相手に全力投球ですwww

 

これでしばらく、合格発表までのプレッシャーを紛らわせます☆

 

それでは、今週の1冊です。

 

タイトルに惹かれて、「はじめに」を立ち読みして購入を決定しました。

 

今までに書いたことがない「メンタル」系の本です。

 

自分に合った本のようで、楽しく一気に読めました。

 

勉強になったというより、自分が感じていた事を言語化してもらえたような、そんな気がしました。

 

特に共感が強かった3点をご紹介致します。

 


〜①:へこむ時はへこめ〜

さっそくですが、「樫(かし)の木と葦(あし)」というイソップ寓話を皆さんご存知でしょうか?

 

太くて強い樫の木は強い風にびくともせず、隣に生い茂る葦は少しの風でふらふらと揺れている。

 

樫の木は葦に対して、「君たちはそよ風でも頭を垂れる」とバカにします。

 

しかし、前代未聞の大きなハリケーンが来た時、樫は風の強さに負けて根本から折れてしまいました。

 

一方バカにされていた葦は、倒れることはありませんでした。

 

というお話。

 

人生、順風満帆なことだけではありません。

 

というか、逆風で厳しい状況の方がずっと多いです。

 

そんなときに、精神的にびくともしない、周囲の人から「強い人だ」と思われる人がいます。

 

一見、精神が強いことは良いことだと思われますが、もしかしたら心に小さなヒビを蓄積しているかもしれません。

 

そして、何かの強いショックがキッカケで、今まで蓄積してきたダメージと相まって、まるで強い金属が「金属疲労」を起こしたようにボッキリと心が折れてしまうとも限りません。

 

最近は、高層ビルも耐震構造に対して「免震」の技術を用いています。

 

無理に耐える仕様にするのではなく、むしろ無理ない範囲に揺れることで全体のダメージを逃がす技術です。

 

私自身、「能力や知識が追いついていない部店に配属された時」・「優秀だが非常に厳しい上、皮肉屋な上司に仕えた時」・「自業自得とは言え、花形部署から左遷された時」など、精神的に大きなダメージを受けるキャリアを歩んできました(全く自慢になりませんが・・・w)。

 

結局、なんとか精神を崩壊させずに今でも元気に仕事が出来ています。

 

今振り返ると、無理して耐えようとせず、どうしても会社に行きたくない時は「仮病」を使ってでも精神バランスを保っていたことが結果的に良かったのだと思います。

 

1日か半日、会社に「体調不良」だと伝えて、スーツを着たまま公園や漫画喫茶でボーっとしていました。

 

そして、このまま会社を辞めるのか、それとも仕事に戻るのか、ぼんやり考えていました。

 

大体2~3時間くらいそうやっていると、無駄にボーっとしていることに飽きて、「やっぱ仕事しよ」といって職場復帰していました。

 

これからもきっとツライことはたくさん起きて、その度に動揺することと思いますが、「耐える」コマンド以外も選択できるように、まずはちっぽけなプライドを捨てることから始めようと思います。

 

〜 To Do 〜

プライドを捨てて、ツライ時は耐えずに逃げる。


〜②:負けることを楽しむ〜

なにかに挑戦して失敗すること。

 

誰かと勝負をして負けること。

 

やっぱり、不愉快な経験ですよね。

 

「成功か失敗か」や「勝利か敗北か」を自由に選択できるなら、成功と勝利を選択します。

 

しかしながら、失敗や敗北は、やはり必要なことだと思います。

 

それは、「失敗は成功のもと」とか、「誰かの敗北が自分の勝利」とか、そういう意味では無く。

 

自分自身が失敗や敗北を経験する「かもしれない」ということが大事なのだということです。

 

例えば、サッカー。

 

開始と同時に、こっちはボールを足だけでコントロールして敵ゴールに運ばなければいけないのに、相手は自由な身で前進を阻止します。

 

ゴールには手を使えるキーパーが守護神として君臨しています。

 

凡人では、なかなかゴールにボールを入れることが出来ません。

 

仲間と戦略を練り、パスを的確に繰り出し、相手のスキを突いてゴールを奪う。

 

難易度が高いから、ゴールを決めた時の喜びが大きいのだと思います。

 

もし、誰もいないゴールに向かってボールを蹴り入れるだけのスポーツだったら、やってる方も見てる方も、面白くもなんともありません。

 

「失敗や敗北の可能性がある」こと、「制約があり、全力を尽くしても結果が見えない」からこそ、成功と勝利に価値が生まれる。

 

つまり、失敗や敗北があるからこそ、成功や勝利に価値が高まるということです。

 

だから、失敗も敗北も、必要以上に恐れたり避けたり、へこんだりする必要は無いのです。

 

次のチャンスがあるならまたチャレンジすれば良いし、一度きりの挑戦なのだとしたら、別のチャレンジを選択すれば良い。

 

失敗や敗北を避け続けて、無難な人生を歩んだら、晩年に何を思うのでしょう?

 

きっと自分なら、「チャレンジをしなかった」という後悔を感じ、「できることなら時間を戻したい」と思ってしまうのだと思います。

 

無茶や無謀を推奨する気は全くありませんが、失敗や敗北を恐れすぎて無難な人生を生きるくらいなら、たまには破天荒にチャレンジしてみても良いのではないでしょうか。

 

そして、その上で起きた失敗や敗北は、ただ受け入れれば、それが成長に繋がるのだと思います。

 

 

〜 To Do 〜
失敗や敗北が、成功と勝利の価値を上げる。恐れずチャレンジする。

〜③:心を壊すのも立て直すのも自分~

こちらも、たとえ話から。

 

大学受験の話です。

 

どこでも良いのですが、例えば早稲田や慶応大学。

 

このような大学に受験を突破して入学できることは、客観的に見て「成功」だと私は思います。

 

しかしながら、このような結果をどう捉えるかは、実は各個人によって大きく違います。

 

例えば、早稲田・慶応より少しランクの低い大学を志望していた人が、直前の半年間で猛勉強をした上、チャレンジングに受験をした結果、本番に120%の力を発揮できて合格したとしたら、これは大成功でしょう。

 

反対に、東大だけを狙って何年も浪人した末、「これ以上は浪人は許さない。次に大学が不合格になったら社会に出て働け」と言われていた苦学生が、滑り止めで早稲田や慶応を受験して、東大に不合格であった結果入学したとしたら、これは「大成功」と呼べるのでしょうか?

 

周囲の人がどう言うとしても、きっと本人は「失敗」と感じてしまうのではないでしょうか?

 

本書には、人の心がダメージを負うことについて言及されています。

 

人の心は、外からのダメージには意外と強い。

 

それよりも、内側からのダメージに弱い。

 

つまり、敢えて言えば、心は自分が自分で痛めつけて壊してしまう、ということです。

 

これには、納得が行く部分があります。

 

先の大学受験の例なら、浪人しても東大は受験失敗し、早稲田慶応に入った学生には、きっと周囲が「早稲田や慶応なんて、十分に凄いじゃない」「東大だけが大学では無い。十分優良な大学に入学できたのだから、あとは何を学ぶかだ」と、励ましたり説いたりしてくれたと思われます。

 

そこで、「その通りだ」と自らが納得して、学業に邁進することと、「何を言っているんだ。東大以外の入学に価値はない」とふてくされるのとでは、結果が大いに違うことは想像に難くありません。

 

つまり、外部環境や他者からの影響・言動はキッカケに過ぎず、外部環境や他者からの影響・言動を「自らがどう受け止め、どう認識するか」が、自分自身へのダメージを決定するのです。

 

と、正論だけ書いて、「だから前向きに受け止めることが大事だ」とまとめても良いのですが、それではあまりに一方敵すぎるかなと思い、最後に蛇足を書きます。

 

他者との比較で価値観を決める時に、「一つのモノサシ」で測ることは得策ではありません。

 

例えば、偏差値・大学のランキング・社会人になってからの年収・貯蓄額etc..

 

数字で表されるもの一本で他者と自分を比較すると、自分以上の人間は必ずいて、どこかで「劣後」を感じることになります。

 

そこで、マーケティング理論の応用になりますが、価値観を「二軸」で評価する手法が有効です。

 

そして、数字で測れないモノサシをもう一本用意し、2軸で自分の立ち位置をプロットします。

 

これは、「良い」「悪い」の評価を決定しません。

 

自分と他者とが、どのセグメントに属しているかを確認するだけです。

 

2つ目のモノサシは、何でも良いです。

 

プライベートでの趣味の充実でも良いですし、仕事の中でも、「人あたり」や「業後の充実」でも良いと思います。

 

単純な数字の比べっこでは、他者比の劣等により心にダメージを負うことがありますが、2軸のプロットで位置取りをすることで、「自分と他者とは違う」という当たり前のことを再認識し、過剰な心のダメージを緩和することができます。

 

同期が先に昇進した。

 

PJで失敗してしまった。

 

上司とソリが合わない。

 

こんな風に、もし、今何かに傷ついていたり、傷ついている人が近くにいたら、是非試してみて下さい。

 

精神的に落ち込むと視野狭窄になり、失敗や弱点ばかりに目がいきがちです。

 

仕事での成功以外の軸を持ち出して、自分が何に喜びを見出すか、何が強みなのか、何にリソースを注ぐべきなのか。

 

冷静に、視座を上げて俯瞰してみて下さい。

 

〜 To Do 〜
心のダメージは自分が決める。人生の価値観を2軸で整理し、心を落ち着ける。

〜まとめ〜

自分で言うのも何ですが、私のことを知っている人は、多分、私のことを「メンタルが強い人」だと感じていると思います。

 

「タフ」というより、「飄々としなやか」なタイプです。

 

でも、別に凹むことが無いかと言えばそんなことは無く、むしろ喜怒哀楽は強めなタイプだと思います。

 

仕事でヤなことがあれば、行きつけのバーでベロベロになるまで飲んで、散々暴言を吐いて、翌日はケロッと仕事をするような、そんなタイプです。

 

本書を読んで、自分が他人に「メンタルが強い」と思われている理由と、今後も同じように平穏に生きていくためのコツが言語化できました。

 

珍しく、自分の言葉で「こうすれば良いと思います」と書いた部分が多い回になりました。

 

20代の苦しかった時期も、10年も経つと、やはり血肉になって役にたつものですね。

 

今、苦しんでいる人がもしいらっしゃれば、無理せず逃げながら、時が解決するに任せるのも立派な選択肢だと思います。

 

本書を手にとって、心静かに、次の一手を思案して下さい。

 

〜 To Do 〜
1.プライドを捨てて、ツライ時は耐えずに逃げる。

2.失敗や敗北が、成功と勝利の価値を上げる。恐れずチャレンジする

3.心のダメージは自分が決める。人生の価値観を2軸で整理し、心を落ち着ける。