『本を読む人だけが手にするもの』

2015年10月1日 第1刷発行

 

著者:藤原 和博

 

発行者:吉田 啓二

 

発行所:日本実業出版社

 

【著者紹介】

教育改革実践家。元杉並区立和田中学校校長。元リクルート社フェロー。

1955年東京生まれ。1978年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任。メディアファクトリー(現・KADOKAWAグループ)の創業も手掛ける。93年よりヨーロッパ駐在、96年同社フェローとなる。2003年より5年間、東京都では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。08年~11年、橋本大阪府知事の特別顧問。14年~佐賀県武雄市特別顧問、15年~奈良市教育政策アドバイザーに。

『人生の教科書[よのなかのルール]』『人生の教科書[人間関係]』『人生の教科書[中くらいの幸せはお金で買える]』(いずれも筑摩書房)、『35歳の教科書』(幻冬舎)、『坂の上の坂』(ポプラ社)、『つなげる力』(文藝春秋)、『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』(東洋経済新聞社)、『たった一度の人生を変える勉強をしよう』(朝日新聞出版)など、著書は累計124万部を超える。『日経ビジネス』で8年間にわたって書評を執筆。講演会は1000回、動員数20万人を超える人気講師としても活躍中。(著者紹介より抜粋)

【オススメ度】  
読みやすい度 ★★★★☆
お役立ち度

★★★★☆

読書の大切さを理論で説明度

★★★★★


「今年は、アホみたいに多いな!!」

 

 

中小企業診断士関連の話題です。

 

今週、ついに1次試験の正式な合格発表がなされました。

 

自己採点で突破していることを確認はしていましたが、無事に合格証書も頂き、ひとまずホッとしました。

 

それにしても今回の合格率!

 

H29~R元年は、21.7%⇛23.5%⇛30.2%と推移してきているのですが、今年度はなんと、まさかの

 

42.5%

 

という高い数字!!

 

全くもってオドロキです。

 

今年はリモートワークが本格化し、みなさん勉強時間が確保出来たのでしょうか(笑)

 

2次試験は毎年合格率がほぼ一定と言われていますが、もし「合格者数」が一定だとしたら、今年は2次試験が難化するかもしれませんね(泣)

 

気合を入れて準備していきたいと思います。

 

コロナ禍の第二波が叫ばれる中、突然の首相交代と落ち着かない環境が続いています。

 

また、暑さもまだまだ続いており、体調管理も気をつけたいところです。

 

環境不安と猛暑に負けず、来週も頑張って参りましょー!

 

それでは、今週の1冊です。

 

2019年12月1日「35歳の教科書」でご紹介しております、藤原和博さんの著書です。

 

オーディブルで聞いているので本HPでは書かないと思いますが、「藤原和博の必ず食える1%の人になる方法」も良書でした。

 

気になる方は、是非!

 

それでは、例によって勉強になったポイントを3点ご紹介致します。

 


〜①:「趣味の読書」から、「人生を切り拓くための読書」へ〜

 

まず、本書に限らず、藤原和博さんが繰り返し主張されている説があります。

 

それは、「日本は成熟社会に入った」という説です。

 

では、成熟社会の前はなんだったかというと、「成長社会」でした。

 

成長社会においては、全員が同じ方向を向いてがむしゃらに働けば、全員一定の「幸せ」を得ることが出来る社会であった、とされています。

 

学校のテストで良い点数を取り、有名大学に入り、大企業に就職する。

 

そして、給料の3ヶ月分の婚約指輪を贈り、海外でハネムーン。

 

家族が増えたら郊外の一戸建てや都心のマンションを35年ローンで購入。

 

退職金でローンを完済すれば、国と企業からの年金で余生を送る、、、と。

 

つまり、社会全般での「幸せな人生のモデルケース」があり、会社の同僚や先輩と同じように頑張って同じようなライフイベントをこなしていけば、幸せな人生を謳歌できる社会。

 

そんな「目指すべきライフスタイル」というべきモデルケースを、トレンディドラマで繰り返し放映し、市民権を得て、国民の大多数がそのモデルを信じて目指す。

 

そんな、言ってしまえば「自分の幸福論を真剣に考えなくても良い」社会であったと言えます。

 

しかし、成熟社会に入ると、状況は一変します。

 

まず、国や会社が、構成員全員の余生を無限に保証することが困難になりました。

 

次いで、「皆一緒」の人生観が変わり、個性の時代に入りました。

 

でも、「自分なりの幸せのカタチ」は学校では教えてもらえず、周囲の大人も「成長社会」での幸福しか知りません

 

つまり、社会の変革期にあたる現代を生きる我々は、人生のロールモデルを、身近な知人=肉親や学校の教師や会社の同僚に求めることができず、幸福そのものどころか、「幸福の追求の仕方」すら、座していては手に入らないのです。

 

そこで、本書では、人生の糧を得る手段として、また、教養を磨く手段として、読書は必要なものになった、という考えをまず説明しています。

 

非常に納得のいく、現代の読書の必要性を喝破した理論であると感じました。

 

自分自身、読書を通じて様々な著者の生き方や考え方に触れ、それまでの狭い了見を省み、自分の生き方と在り方を真面目に考えるようになりました。

 

そして、自分の進むべき方向性を定めて努力を継続している現在、ゴールにはたどり着いていませんが、日々感謝と幸福を感じています。

 

「読書は、しないよりした方がよい」とか、「読書している自分、カッコイイ」とか、「趣味は読書です」とかのレベルを超えて、もはや、「幸福な人生を送りたいのなら、読書は必須」といえる時代なのかもしれません。

 

自分自身のため、更には、家族がこれからも幸福に過ごせるため、読書の習慣は続けて行きたいと改めて思い知らされました。

 

〜 To Do 〜

幸せな生を送るため、読書の習慣を継続する。


〜②:ジグソーパズル型からレゴ型の学力へ〜

この項目は、本当に納得が出来ました。

 

まず、従来の成長社会では、「みんな一緒」の考え方が強い社会でした。

 

また、成長社会では、「前を進む欧米」というモデルがあり、そこに追いつけ追い越せで、ひたすら前を進む者の分析・吸収・改善を繰り返して成長してきました。

 

この社会で必要となる個人の資質は「正解」を即座に当てる能力、情報を膨大に記憶し処理できる能力でした。

 

これを本書では「情報処理力」と評され、そのために必要な学力が「ジグソーパズル型」学力と書かれています。

 

つまり、ジグソーパズルのように正解の「絵」があり、その絵にマッチするピースを、膨大な材料の中から探し、組み合わせ、いち早く完成させた者が勝者になるわけです。

 

 

対して、成熟社会では「それぞれ一人一人の多様性」を重視する社会になりつつあります。

 

また、既に追いつき追い越してしまったため、「目指すべき欧米」というモデルケースはありません

 

目まぐるしく変化する環境を感じ、適応する力が求められています。

 

つまり、情報を処理するだけでなく、収集した情報を元に「納得解を創り出す」能力が必要とされています。

 

この能力を本書では「情報編集力」と評され、そのために必要な学力が「レゴ型」学力と書かれています。

 

つまり、全員一律の正解は無く、目の前のピースを使って、どのような作品を創るかは各人次第。

 

そして、何が正解というわけではないが、周囲の人に「すごい」と言われれば評価される、というものです。

 

 

 

思い返すと、私達が子供の頃に流行った遊びといえば、ゲームで言えば「FF」や「ドラクエ」シリーズのRPGでした。

 

これは、すでに決まったストーリーがあり、成長しながら決まったゴールを達成するものでした。

 

毎日の学校での友達との会話は、RPGゲームをどこまで進めたか?そしてそのシナリオについて口々に感想を言う、もしくは、隠れイベントを見つけ自慢する、といったものでした。

 

これに対し、今の小学生がハマっているゲームは、「あつまれどうぶつの森」であり、「マインクラフト」です。

 

私には、「決まったゴールが無いこんなゲームの何が楽しいのか?」と未だに理解出来ませんが、遊んでいる当の本人たちは、自分たちなりの楽しみ方を見つけ、友達とルールを決めて楽しんでいます。

 

これからの成熟社会においては、あつもり・クラフト的な生き方がますます主流になるのだと思います。

 

下記は、本書に記載されていた【「成長社会」から「成熟社会」への転換】という図です。

 

今までの論調があまりに美しく整理された図でしたので、引用させて頂きました。

 

成長社会から成熟社会への転換(本書P134より引用)

20世紀   21世紀
 成長社会 ⇛  成熟社会
||   ||
「みんな一緒」   「それぞれ一人一人」
の感覚が強い社会   の感覚が強い社会
 
情報処理力   情報編集力
||   ||
「正解」を当てる   「納得解」を作り出す
 
ジグソーパズル型学力   レゴ型学力

これからの社会でも通用する社会人になれるよう、情報編集力・レゴ型学力の向上を目指して行きたいと思います。

〜 To Do 〜
情報編集力・レゴ型学力を向上させる。

〜③:効果的な子供への教育~

突然ですが、私は現在、3人の子供を育てております。

 

手のかかる幼児時代は終演を迎えつつあるのですが、今は学校教育や家庭教育について考えさせられる日々です。

 

先週ご紹介した「アドラー心理学」も、子供の教育には非常に力を入れており、ご紹介しなかったものの、教育に関する考え方がふんだんに示されています。

 

本書も、東京では公立義務教育初の民間出身校長を経験された筆者が、教育に関する持論を展開されております。

 

その中で、シンプル且つ最も私に刺さったのが、

 

「子どもにとって最高の教材は、いつも、大人の学ぶ姿なのである。」

 

という一文でした。

 

確かに、あの手この手で子供に勉強させたとしても、隣で両親がスマホ片手にゴロゴロしてたら、子供もやる気がでないでしょう。

 

思い返してみると、私の父親は、休日になると時たま台所に立ち、手料理をふるまってくれました。

 

ですので、男親が料理をすることに私は何の抵抗も無く、今でも土日の料理担当は私です。

 

逆に、父親が家でしていることと言えば、プラモデル作りやモデルガン収集などで、自身の趣味を満喫していました。

 

小難しいそうなビジネス書を読んでいるところなど、見たことがありません。

 

もちろん、我々子供に見えないところで密かに読書に勤しんでいたのかもしれませんが、それは今でも分からぬことです。

 

そのため、と言っては他責すぎますが、私は30代になるまで読書の習慣が身につきませんでした。

 

逆に、私がこうして毎週の読書と感想文投稿をしている姿を子どもたちはよく見ているので、私の子どもたちはすでに読書を生活の一部として受け入れてくれています。

 

平日は早朝から家を出て残業して帰ってきて、ほとんど顔を合わせません。

 

また、休日も自室や自習室での勉強に明け暮れており、やはり会話はほとんどありません。

 

こんな育児放棄気味の自分でも、子ども達に一つでも良い習慣を身に着けさせる一助になるのであれば、諦めずに続けようと思うことができます。

 

親が自己研鑽する姿を、これからも見せ続けようと改めて感じました。

 

〜 To Do 〜
小うるさく勉強させず、背中で見せる。

〜まとめ〜

ジグソーパズル型とレゴ型学力の話ですが、私自身は、情報処理力の教育を受け続け、正解を当てる力を養いながらここまで育ってきました。

 

もはや、ジグソーパズル型教育の申し子のようなものです。

 

しかし、それだけでは会社で成果を残せず、20代~30代前半では非常に苦労しました。

 

どんなに苦労し、頑張ってみても、誰も正解を教えてくれず、それ故、努力の仕方が分からず、つまりは評価に繋がらない。

 

そんな生活をずっと続けていました。

 

あのまま読書の習慣を身に付けず、会社の中の部や支店の中の、更に小さな「課」の正義で人生をまっとうしていたらと思うと、今では薄ら寒く感じます。

 

他にも、以下のような文章が紹介されており、自分の考えにも似ていて非常に勇気づけられました。

 

「本を読むという行為は、決して情報を得たいというためにやることではなくて、むしろ自分のなかからどのくらい引き出せるかという営みなのです。」

 

このHPを作成している時にいつも思うのですが、自分の中に腹落ちした話は、キーワードと筆者の論拠を基に、自分の考えや経験・主張も一緒に書くことができ、筆が進みます。

 

一方、学びが少なかった本については、その本の引用が多くなり、最後に自分の気持や感想をちょろっと書いてお茶を濁してしまっています。

 

きっと、このHPを何度か読んで頂いている方にも、それは伝わってしまっているだろうなぁ、と感じています。

 

HPの質を上げるためにも、自分の知識・経験を深めるためにも、子どもたちに良い習慣を身に着けさせるためにも、良書を探し、しっかりとしたアウトプットを継続して行きたいと思います。

 

 

〜 To Do 〜
1.幸せな生を送るため、読書の習慣を継続する。

2.情報編集力・レゴ型学力を向上させる。

3.小うるさく勉強させず、背中で見せる。