2017年9月30日 第1刷発行
著者:桐生 稔
発行者:久保田 榮一
発行所:株式会社扶桑社
【著者紹介】
もともと臆病な性格で、対人関係が非常に苦手。
新卒で入社した会社では営業成績がドベで左遷させられることに。
しかし、そこから一念発起。
コミュニケーションスキルを上げるべく心理学を学び始め、営業成績で全国No.1となる。
その後、メンタル心理カウンセラー、上級心理カウンセラー資格を取得。
現在は、全国20会場にてコミュニケーションスキルをトレーニングするビジネススクールを運営。
年間5,000名、800本のセミナー・研修を実施し、ビジネスマンのための「伝わる話し方」を指導している。(著者紹介より抜粋)
【オススメ度】 | |
読みやすい度 | ★★★★☆ |
お役立ち度 | ★★★★☆ |
明瞭に話せる度 | ★★★★☆ |
私がこの本を読んだキッカケは、現在のプロダクト部(特定分野の商品に特化して提案する本部)の営業に配属されたことです。
以外かもしれませんが、銀行員の現場担当者は、いわゆる「プレゼンスキル」を発揮する場は極めて少ないです。
通常は、担当する会社の社長や専務、経理部長等、限られた相手と頻度高く会ってビジネスをするので、ヒアリングスキルや交渉術は必要ですが、初対面の人・大勢の関係者を一同に集めた場所・といった場での提案は、実はあまり経験を積まないのです。
現場ではプレゼン力を必要としないので、支店内のコミュニケーションも、ともすれば冗長的な会話が多く、それを気にしない風土もあります。
しかしながら、本部のプロダクト部の営業となったからには、初対面の不特定多数を相手に、確りとしたプレゼンを実施する必要に迫られます。
そのためにこの本を読みましたが、副次的な効果がありました。
それは、部内でホウ・レン・ソウをする際に、上席に必要最低限で良くまとまった話し方が出来るようになってきたことです。
それに伴い、自分の下員の話し方が非常に冗長的なことが目につき、この本を渡してみました。
先日渡したばかりですが、何らかの変化があったら、ここに追記させて頂きます。
本書には、参考になる話がたくさん書いてありますが、詳細は是非本書を手に取って、ご自身で読んでみて下さい。
最も感銘を受けた一つについて、私の体験談を交えて、ご紹介させて頂きます。
上司から、「●●ってどんな感じ?」と聞かれたら、どう返しますか?
ダメな例「一昨日ご指示のあった企画書の件ですか?すみません、一昨日は午前中・午後とも外訪がありまして、昨日はスケジュールには組み込んでいたのですが、別の人から急な案件を依頼されまして。この人の依頼は断ると、前にも似たようなことがあったのですが、かなり陰険に引きずってイヤミを言われるので、それは後々悪影響もあり、1時間程で完了できるタスクでもあったので、先に完了させました。その後は支店からの電話が鳴りやまず、夜には宴席もあったので、まだ手についていません。ただ、明日は一日予定が空いていますので、明日の夕方には提出出来るように、努力します。」
冗談だと思いますか?少なくとも、私の職場では、このような返事をする人の方が多数派です。
(困ったことですが・・・)
ただ、彼らは頭の回転が速く、話しているそばから相手の思惑を読み取りながら、先んじて「相手に言われそうなこと」を発言しているのです。
また、「一昨日頼まれた」時から、時間を追って、丁寧に事実を述べています。
つまり、悪気はないどころか、彼らは「これが正しい」と思って発言しているのです。
みなさまにも、心当たりはありませんか?
さて、「ニーズファースト」とは何を言っているかと言えば、これは「相手が最も聞きたいこと」を優先して話す、ということです。
先ほどの例の発言を因数分解してみましょう。
①一昨日は午前・午後とも外訪があった。
②昨日は別件が横入りしてきた。
③別件を依頼してきた人物は、優先させないと後が面倒だ。
④昨日は夕方以降もタスクが多かった。
⑤まだ手についていない。
⑥明日の夕方には提出できる見込み。
さて、最も外してはいけないファクターはどれでしょう?
⑤まだ手についていない
ですよね?
次に上司が気にしているファクターはどれでしょう?
⑥明日の夕方には提出できる見込み。
ですね。
では、繋げてみましょう。
良い例:「一昨日ご指示のあった企画書の件ですか?すみません、まだ手についていません。明日は時間を取っていますので、午前中に大枠の方向性を打ち合わせさせて下さい。夕方には完成できる見込みです。」
これで、聞きたいことは全て入っていますね。
しかも、作業を始める前に方向性を打ち合わせすることによって、ゴールから遠く離れた作業をしてしまうリスクを抑えてます。
これなら、始業で少し打ち合わせをして、夕方に完成形を提出できればOKです。
仮に完成できていなくても、60%〜70%程度完成していれば、あとは提出日直前でも大丈夫でしょう。
「どうして2日間手につかなかったのか?」は、上司に聞かれた時に話せば十分です。
自分から進んで伝えるべき情報ではありません。
自分の身に起こったことを1から10まで詳細に伝えるのは、親切では無く、自己満足です。
自分が後から怒られないためのリスクヘッジなのでしょうか?
賢い人程、必要な情報に絞って優先順位を付けて話をします。
上記でエラソウなことを述べている自分ですが、職場の同僚に見られたら鼻で笑われます、確実に。
先程のやりとりを、私のケースで書くと、こうなります。
私「一昨日の企画書ですか?まだッス。手についてません。急ぎですか?いつまでですか??」
……自分で書いておいて何ですが、何様のつもりなのでしょう??(苦笑)
ちなみに、続けて書きますと、
私(続き)「イメージは、まず全体の課題があって、次に解決法を3つくらい示して、当行の得意分野を示して、案Ⅰに落とす、って感じで考えてますけど、そんな感じッスよね?」
……雑ですね。。。席が隣なことをイイことに、毎日こんな感じです。
あまり、若いうちには真似できませんよね。
みなさまは、出来るだけ正攻法をマスターして下さい。
2005年4月18日 第1刷発行
編者:PHP総合研究所研究本部
発行者:江口 克彦
発行所:PHP研究所
【著作概要】
本書は、悩み多き時代に生きる経営者、経営幹部の皆様が日々の経営の中で直面しているであろう悩みについて、生前、松下が受けたインタビューや講演での質疑応答の中から、それに対する答えになると思われるものを選んで編集した、いわば経営における悩みのケーススタディ集ともいうべきものです。
数々の困難に直面しながらも、そのつど、悩み、考え抜いて、みずから導き出してきた松下の答えは、時代こそ違え、現代に生きる経営者、経営幹部の皆様にも必ずやお役立ていただけるものと思います。
(本書まえがきより抜粋)
【オススメ度】 | |
読みやすい度 | ★★★★★ |
お役立ち度 | ★★☆☆☆ |
松下のファンになる度 | ★★★★☆ |
この本を手にしたのは、長期休暇を取得して診断士2次試験の対策をしていた時でした。
本番と同じ時間割りで、朝10時〜夕方17時に、事例Ⅰ〜IVの過去問を解いていました。
各設問の間は40分程度〜1時間程度の休憩があったので、自習室の隣のBOOKOFFに度々出掛けていました。
経営コンサルの事例を解きまくってた影響か、無性に松下幸之助の本が読みたくなり、衝動的に買った本です。
読み進めると、松下先生の人柄が伝わるばかりか、感銘を受ける発言が所狭しと並んでいました。
本書は、様々なインタビューや講演会での質疑応答を1冊にまとめたもので、94の質問とその回答が記載されています。
今回は、特に感銘を受けた3つを要約してご紹介します。
気になった方は、是非とも原書をお読み下さい。
問:経営者の決断には、小さな決断から大きな決断までいろいろあります。
その中でも特に大きな決断を迫られる際には、いつも身を切られる思いがするのですが、そのようなとき、経営者が心しなければならないポイントはどこにあるのでしょうか。
答:真実を見るということでしょうな。真実を見るということは、素直な心をもっていなければいけない。
何か欲をもってものを見たらいかん。
なんにもなしでね、心を空(くう)にしてものを見るというか、素直な心で見たら実相が分かる。
名誉に囚われたり、世間の評判に囚われたりしないで、「笑わば笑え、自分は正しい道を行くんだ」という強さが無ければいけませんな。
(後略:本書より一部抜粋)
経営に限らず、自身の人生においても、大きな決断をする時はあると思います。
(私自身は、現在真っ只中です 笑)
そんな決断をする際には、何かに囚われた心ではなく、素直な心をもって臨むことを説かれております。
同じく偉大な経営者である稲森和夫先生も、KDDI(現AU)を立ち上げてNTTドコモに勝負を挑みにいく決断をした際は、「動機善なりや、私心なかりしか」との自問を厳しく追及し、立ち上げに至ったといいます。
偉大な諸先輩方でも、何かを決断する際に、私心や不純な動機を排除することに心を砕いておられることを心にとめ、日々精進して参りたいものです。
問:正しい決断をするには、真実を見ることが大切で、そのためには素直な心をもたなければならないとのことですが、それはどうすれば養えるものなのでしょうか。
答:碁がありましょう。
碁を毎日一回打って、三十年したら、一万回になるんですよ。
すると、だいたい初段になれるんですよ。
特別の腕がある人は別やけども、普通の場合、先生について一万回打てば、だいたい初段の腕前になるんですよ。
同じように、素直な心が必要やと、こう考えましょう。
考えて、毎日朝起きたら「今日は一日素直な心をもって、素直な心になって、ものを考え行おう」と念ずる。
そして三十年すると一万回になるんです。
(中略)
だから、正しいことについては、命でも捨てようかという気になるわけですわ。
そやから強く正しくなるんですよ。
そして聡明になるわけですわ。
素直な心がなかったら聡明になろうと思うてもなれないですわ。
することみなスカタンですわ。
いろいろ自分に利欲があったら、ほんとうのことが見えんですよ。
(後略:本書より一部抜粋)
毎日念じて、三十年間!
今から始めたら、私は高齢者になってしまいますね(笑)
しかし、「正しい決断を下せるだけの真実を見れる先見性」は、そのくらいの気概で臨む必要があることは、想像に難くありません。
毎日念じて、少しずつ向上する。
楽な道ではありませんが、だから「経営道」なのでしょうね。
問:先行き不透明な時代の中、経営者の先見性ということがますます大切になってきているように思いますが、それは、どうすれば養えるものだのでしょうか。
答:先見性の大切さはいくら強調してもしすぎることはないでしょうな。
そして、そのために私が大事だと思うのは経営者の熱意です。
寝ても覚めてもというほどに仕事のことを熱心に考えていれば、自然とすべてのことに敏感にならざるを得ないし、そこから先見性も培われていきますよ。
それともう一つ、経営者は学者ではないのですから、単に未来を予測するのではなく、むしろ未来を創造していく心がまえを持つことが必要でしょうな。
こうなるだろうというのではなく、こうあってほしい、こうあるべきだというビジョンを描いて、それを経営努力で実現していく。
いいかえれば、未来を不確実なものでなく、確実なものにしていくということです。
経営者にとってその真の先見性とはそういうものではないでしょうか。
だから、状況がかわったから失敗したというのでは、ほんとうは経営者としては失格だと思います。
(本書より抜粋)
経営者にとって、未来は「予測するもの」ではなく「創造するもの」。
非常に言力強い言葉です。
サラリーマンにとっても、自身の人生にとっても、重要な示唆を与えてくれます。
素直な心を持つことを念じて毎日を過ごす
↓
熱意をもって仕事に没頭する
↓
培われた先見性をもって、未来を創造する
↓
善なる動機で、大きな決断を下す
今回ご紹介した3つの示唆から、私が学んだ好循環のルールです。
実践することは大きな努力を伴うと思われますが、一つずつ修得して行きたいと思います。
2009年4月5日 第1刷発行
著者:稲盛 和夫
発行者:押鐘 太陽
発行所:株式会社三笠書房
【著者紹介】
1932年、鹿児島生まれ。
鹿児島大学工学部卒。
59年、京セラセラミック株式会社(現京セラ)を設立。
社長、会長を経て、97年より名誉会長を務める。
84年には第二電電(現KDDI)を設立、会長に就任。
2001年より最高顧問。
このほか、84年に稲盛財団を設立し、「京都賞」を創設。
毎年、人類社会の進歩発展に功績のあった方々を表彰している。
また、若手経営者のための経営塾「盛和塾」の塾長として、後進の育成に心血を注ぐ。
(著者紹介より抜粋)
【オススメ度】 | |
読みやすい度 | ★★★★☆ |
お役立ち度 | ★★★☆☆ |
経営哲学を知る度 | ★★★★★ |
言わずと知れた、超一流の経営者です。
私の自席には、京セラフィロソフィーの項目を列挙した自作の紙が、常に見えるところに置いてあります。
先程の本と同じく、診断士2次試験の勉強中に購入しました。
ここでは、経営者ではなく、我々サラリーマンの仕事観にも重要だと感じた項目をいくつか挙げたいと思います。
ご紹介は簡潔にさせて頂きます。
非常に読みやすい本になっていますので、詳細は、ぜひ原書をお読み頂きたいと思います。
自分の仕事に対する願望・情熱を、表面的な顕在意識を超えて、自分の深層にある潜在意識にまで浸透させる程、強く深く念じることを言います。
真摯に素直にひたむきに努力することで、願望が潜在意識に到達し、次の言葉に繋がります。
自分が出来る限界まで努力し、「もう出来ない」というところまで努力をすると、解決のためのヒントや解決法が、まるで神が啓示してくれたかのように現れることがあると、本書にあります。
数々の新製品の製造に対し、真摯に努力を重ねると、偶然や閃きから困難の解決方法が生まれると説明されています。
私は営業やスキーム開発が主ですが、素直に努力を続けると、お客様にご納得頂けたり、困難であった課題が解決できたりした経験はあります。
神が現れたというレベルではありませんが、人事を尽くして天命を待つということなのだと理解しています。
新しいことに取り組む際に、現在の能力で「可能」「不可能」を判断すべきでは無い、と稲森先生は仰っております。
今は能力不足でも、努力で能力が向上し、未来には「可能になっている」のであれば、現時点で「やれる」と判断をする考え方です。
こちらが準備万端になるまで、相手や環境は待ってくれません。
「できない」と判断すれば、それでチャンスはおしまいです。
たしかに、できもしないのに「出来る」と断言し、実際は完成しなければ、ウソになってしまいます。
しかし、現時点で能力不足でも「出来る」と判断し、請け負ってから必死に能力を伸ばす。
そして、結果として、約束の期日までに約束の製品が出来上がれば、正しいことをしたことになります。
自分の能力を現在値で固定せず、果敢にチャレンジしていくべき、と説明されています。
稲盛先生の著書に頻繁に登場する1節です。
能力と熱意は、0から100までの数値。
考え方は、-100から+100まであるという数式です。
つまり、生まれ持った能力が高くても、熱意が少なければ発揮できる力は小さいです。
また、考え方がマイナスだと、社会に善な行動ができず、むしろ悪を増長します。
正しい考え方を持ち、大いなる熱意をもって目の前の課題に取り組めば、生まれ持った能力が高い人とも互角に渡り合っていける、と書かれています。